Home » 映画

「恋空」ツッコミ所と絶妙な隠喩の微妙な混在

1 2 月 2008 No Comment

新しい映画だと思った。

一見すると、こんなにつっこみ所満載の爆笑映画は他に無い。
今後、映画界では、このつっこませ映画=「恋空」的手法が主流になって行くのではないかとも思わせる。

病院の無菌室で持ち込みキャラメルを食べるは、携帯電話はかける。クリスマスの夜には必ず雪が降るは、図書館にあった黒板の文字(あなたは幸せでしたか?)が2年間、消えずに残っているは...等々。
もっとあるから、みんなで探してみてね。

ただ、この映画は隙の多いただのバカ映画ではない。映像の中にはそこかしこに、分かる人にはわかる印がちりばめられているんだ。俺が注目したのは、図書館での本だ。

ミカ(新垣結衣)が落とした携帯が図書館の本棚に置いてある。
その携帯の脇にマルセルプルーストの「花咲く乙女たちのかげに」(『失われた時を求めて』の第2編)とボリスヴィアンの「日々の泡」が並ぶ。そして、その2冊が、後のシーンで、「今週の推薦図書」として図書館の黒板に、何気なく書かれていて、この映画の主題と重なっていくんだ。

最初が「日々の泡」。この小説は、いつの間にか、体が病魔に蝕まれて(体の中に睡蓮の花が成長して)死にいたるという話。死は不条理にも人に忍び寄って来るというのが主題だ。

次に図書館の黒板が写るシーンでは、『幽霊たち』(ポールオースター)が推薦されている。「そこにいるけれども、そこにいない存在の大きさ」が、この小説の主題である。ヒロ(三浦春馬)の存在をどうしても消せないミカの内面の隠喩になっている。

そして卒業後に図書館を訪れた時に、消えかけてはいるが「花咲く乙女たちのかげに」らしき文字が見える。この小説の主題は、単線的な時間の流れとは別に、人間は独自の生きられた時間の中で生きるという哲学的なもの。ヒロの死後、現実の時間とヒロとの時間の2つを生きようとするミカの生き方とシンクロするんだよね。

表面的なつっこみ所の多さと、意外にも深い隠喩のアンバランスがこの映画の特徴だと思う。

まさむね

Leave your response!

Add your comment below, or trackback from your own site. You can also subscribe to these comments via RSS.

Be nice. Keep it clean. Stay on topic. No spam.

You can use these tags:
<a href="" title=""> <abbr title=""> <acronym title=""> <b> <blockquote cite=""> <cite> <code> <del datetime=""> <em> <i> <q cite=""> <strike> <strong> <img localsrc="" alt="">

This is a Gravatar-enabled weblog. To get your own globally-recognized-avatar, please register at Gravatar.