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ビートルズ »

[17 11 月 2008 | No Comment | | ]

BEATLES FOR SALE
TOCP-51114
1964年12月4日発売(英)
●1964年のクリスマスセールに間に合わせるため、作られたアルバム
●14曲の内訳は、オリジナル8曲、カヴァー6曲
●全アルバムの中で最もアーシーな色彩を帯びた異色作(ザ・ビートルズ大全)

ジャケットを見るといかにも不機嫌な4人がこちらを向いて立っている。
疲れたというべきか、やつれたとでも言うべきか。そんな4人が立っている。
疲れてくると段々手抜きとか惰性とかが見られてくるのが普通だ。しかし、このアルバムには、それどころか、新しい楽器(ティンパニー、アフリカンドラム等)への挑戦、新しい詩の境地が見られる。
人気の絶頂にありながら、No Replyではストーカーのような姿をさらし、I am a loserでは負け犬と自分を断じる。その内面の絶望は普通だったら、ユーザーのニーズからかけ離れたものだと思うんだが、この作品も売れに売れてしまう。
ジョンの音楽的絶頂は続いているのだ。

No Replay
★★★★☆
◆(Lennon=Maccartney) V=John 収録日=1964/9/30
●もともとトミー・クイックリーのために書いた曲。
ジョンが始めて書いた物語風の歌詞。でもポールのそれとは違って、(I nearly died)死ぬほどつら~いっていう暗い歌詞。別の男と手をつないで家に帰ってきたのを目撃、その娘の部屋に明かりが点いている。ところが、電話をしても「娘はおらん」と言われたジョン青年。絶望的になってもしかたがない場面ではある。
今の時代ならストーカーと言われるかもしれないが、似たようなシチュエーションは文学の世界にはあるよね。古事記から、源氏物語から、田山花袋の「蒲団」、川端康成の「みずうみ」とかもそうだし、映画で言えば、『卒業』『ヴェニスに死す』『ニューシネママラダイス』とかもそうだし。
ちなみに、フィンランドに住むフィン族では、夜這いすると娘のお父さんが出てきて、その人と戦って勝つと娘がもらえるっていう習俗があるらしいよ。さすがに最近ではその習俗も儀式的なものになっているみたいだけどね。
でもこの曲はそれ以前の問題だったな。返事すらない(No reply)んだもんな。わかるよ、ジョン。
ジョンのリアルで切ないラブソング。

I’m A Loser
★★★★☆
◆(Lennon=Maccartney) V=John 収録日=1964/8/14
●ジョン自身ディランの影響を受けたという公言する曲。
ジョン自身、「僕のディラン時代の曲だ。僕の中のある部分は自分を負け犬だと思っていて、別の部分では全能の神だと思っている。」との述べている。でもさ、ビートルズとして人気絶頂でさ、お金も名声もなんでも手中に収めたジョンが歌うっていう落差が凄いよね。ジョンよ、お前が負け犬だったら、僕はどうなっちゃうんだ。なんか共感できるようなできないような曲。No Replyは結構共感できるんだけどね。
歌詞では次のところが好きだな。
Although I laugh and I act like a clown
Beneath this mask I am wearing a frown
My tears are falling like rain from the skyピエロみたいにはしゃいでいても
この仮面の下には不機嫌な顔が潜んでいる
雨のようにとめどなくこぼれる涙
この曲を聞いたあとで、ヤァヤァヤァとか四人はアイドルとか見ると、とっても痛いよね。
さて、この部分の
My tears are falling like rain from the skyですが、普通だったら、上記の訳なんだろうけど、僕は敢えて、「空から雨のようにこぼれる僕の涙」と訳したい。なんだか空いっぱいにある巨大目、ダリの絵のような風景を想像しちゃいます。
ジョンのハーモニカによるソロもいいし、ポールのランニングベースもいかしている、でも実は暗い詞の曲だ。

Baby’s In Black
★★★★☆
◆(Lennon=Maccartney) V=John,Paul 収録日=1964/8/11
●ジョンとポールが最初から最後まで二人で歌うのはこの曲だけ。
Baby’s in black and I’m feeling blueあの娘の黒い服が僕をブルーにさせる(内田久美子訳)
日本のロマンポルノとかも、喪服の女にそそられてみたいなのあるけど、こういう劣情って洋の東西を問わないんだよね。弔問客には気をつけろ(あるいは、弔問客に期待しろ)っていうことか。でも色を使うと詩はロマンチックになるよね。宇多田ひかるの「colors」もなんだか似たような歌詞あったよね。
さて、色で気分を表すっていえばYes it isにもこんなフレーズがあった。
For red is the color that will make me blue赤い服が僕をブルーにさせる
おい、文法的にはこっちの方がわかりやすいよね。赤でも黒でもブルーになるのは変わんないんだけどね。
ちなみに、東京公演の時、ポールが4分の3拍子(?)にあわせてヘフナーをブルンブルン揺すって弾いていたのが印象的だったよね。
ビートルズでは珍しいワルツロック。

Rock And Roll Music
★★★☆☆
◆(Chuck Berry) V=John 収録日=1964/10/18
●日本ではシングルカットされ大ヒット。
●チャックベリーの1957年の曲のカヴァー。
日本武道館での東京公演でジョンが一発目に弾いた曲。僕はその昔、記録映画とかでみて、最近、アンソロジーDVDで見た。
結構つらい演奏(アンソロジーでも演奏がひどくなってきたっていう流れの中で東京公演の映像が使われてたけどね)だ。レコードのこのバージョンにしたって、たしかに、Twist & …

ビートルズ »

[17 11 月 2008 | No Comment | | ]

HELP!
TOCP-51115
1965年8月6日発売(英)
●A面は映画「Help!4人はアイドル」のサントラ
●B面は当時の新曲(カヴァー曲は2曲)
●本作は「A hard day’s Night」で個性的なロックンロール自作自演者集団としての完成形に到達したビートルズに、新たな芸術性と作品性が芽生えた事を感じさせる。(ザ・ビートルズ大全)

典型的なアイドル映画の「Help!4人はアイドル」。ある意味、「ビートルズという名の産業」はメンバー4人を容赦なく消費しようとする。勿論、ファンも同様だ。彼は表面的にはその需要に従って、スイスに行ったり、バハマに行ったり、演技したり演奏したり、溌剌はところを見せてくれる。
しかし、どう見てもビートルズは真っ白なゲレンデも青い海も似合わない。彼らが本当にやりたかったこととのズレは明らかだった。タイトル曲Helpはジョンの内面の叫びの究極の形だし、ポールの作ったYesterdayは次の時代のビートルズの可能性を内包していた。
最後のDizzy Miss Lizzyのむなしいジョンの叫びとよくトチるジョージのギター。そんな時代をある意味最も象徴する1曲。この空虚さは、ビートルズはもうすでに、このステージにはいないことを示していた。

Help!
★★★★★

◆(Lennon=Maccartney) V=John 収録日=1965/4/13●映画「Help! 4人がアイドル」の主題歌。●『なんでも鑑定団』のオープニング曲。

ジョンが自分の心情をストレートに吐露した曲。アイドルとしての自分から逃れたかったんだろうな。ジョンは。でもこの曲が「4人はアイドル」の主題歌っていうのは全くの皮肉だよね。映画自体は、リンゴの指にはめられたルビーの指輪をめぐるドタバタ喜劇。その主題歌がじつは、こんなに切実だったなんてこと、当時は誰も気にもしなかったって事が不思議だよね。
でも、ビートルズっていう飛ぶ鳥を落とす勢いのグループのリーダーの内面がこんなだったってことがビートルズをめぐる神話の始まりを予感させる。ただのアイドルグループじゃなかったってことさ。
注目は次の1行
My independence seems to vanish in the haze.
あの頃の独立心はどこかへ消えちゃった
これは、多くのことが自分自身では決められない状況になってきたって事でしょ。忘れがちなんだけど、ジョンはクォリーメンを結成してから、デビューするまで、7年位かかってるんだよね。恐らくその下積み時代、どうすれば成功するのかって考えて、いろいろ自分で考え、行動し、失敗し、またやってみての繰り返しだったんだろうな。その時代は、独立心こそポリシーだったはずだ。
でも、ビートルズとしてデビューし、その役割を演じるようになる。そして段々、疲れてくる。このころのジョンには相当ジレンマがあったんだろうな。
初期ジョンの最高傑作。この疾走感がたまらない。

The Night Before
★★★☆☆
◆(Lennon=Maccartney) V=Paul 収録日=1965/2/17●映画では原っぱでの演奏シーンに流れる。
ポールの軽快なロックナンバー。映画では、実物の陸軍第3師団の砲兵、機関砲兵、騎馬砲兵隊なんかが現れて最後は、大爆発する。その時のこの曲って全く意味は無い。
この頃のポールの標準的な曲かな。

You’ve Got To Hide Your Love Away
★★★★☆

◆(Lennon=Maccartney) V=John 収録日=1965/2/18●映画では、部屋の中でのシーン。フルート奏者はビートルズ始めての外注ミュージシャン。●邦題は「悲しみはぶっとばせ」 。

ジョン自身、ディランの影響を受けたというのがこの曲。注目は次のフレーズ。
Everywhere people stare each and every day
I can see them laugh at me毎日どこへ行っても みんながじろじろと見る
僕をからかいながら
ジョンは見られることを商売にしていながら、逆に見られることを物凄く嫌がるよね。そして笑われることに異常に繊細になる。
この歌のこの部分もそうだし、他には、こんなケースもある。
1)You can’t do thatYou talking that way They’d laugh in my faceほかの男といちゃついていたら俺が笑いものになるんだぜ 2)I’ll cry insteadDon’t want to cry when there’s people there,
I get shy when they start to stare人前では涙を見せたくない じろじろと見られたら決まりが悪いからね …

書評 »

[17 11 月 2008 | No Comment | | ]

品格とは、もともとある特定の人々に備わったものとしてみられてきました。
つまりだれでもが品格をもつということはありえないのです。
一生懸命がんばってつくりあげるものではありません。
-「検索バカ (朝日新書 140)」藤原智美 P131-
「国家の品格」藤原正彦、「女性の品格」坂東眞理子等のいわゆる品格本の胡散臭さをバッサリ。
 ワイドショーのニュースなどで、日本はダメだ、ダメだって繰り返すもんだから、なんだか自分も不安になってきて、日本に関して考えてみようと思い立ち、本屋で思わずこの本を手にしてレジに向かってしまう。
この日本の伝統意識とは全く無縁な、焦りの集積の結果がこのベストセラーならこの国はどうなってしまうのだろうと、さらに不安にさせる効果が、確かに「国家の品格」にはあった。
あるいは、普段、本など買いもしない人々が、新書を読んで、小知恵をつけて、会食かなんかで披露すれば、さらに無知な人々から「あの人、品格あるわね」って賞賛される事を夢見て、本屋で思わずこの本を手にしてレジに向かってしまう。
この浅ましさは「女性の品格」とは最も遠いところにあるものではなかったのか。
さらに作者は、品格について続ける。
つまり品格とは地位、権力、財力のある者こそに求められる態度、行動の規範であり、彼らが支払うべき代償、不自由さのことです。
それはかつての世間が編み出した権力抑制のための方法でもあったのです。
-「検索バカ (朝日新書 140)」藤原智美 P133-
権力の抑制装置としての品格、これは面白い視点である。私の興味対象に引き付けて言わせてもらえば、家紋も品格と同様の機能があると気付いた。紋付を着るという事は、同時に行動の不自由(+責任)も強いるものだからだ。
こういう面白いテーマをこの本は、他にもいくつも提示してくれている。大雑把に言えば、この本は、ネットの普及と世間の解体が、それまでの人間のあり方を破壊するといういわゆる関口宏的言論に組してはいるが、文章が卓抜で、具体的な例が多く書かれているため、本書には、多くの考えるヒントが含まれているように思われる。
そして、この本の結論として、状況を打破するために、「他人と議論をし、そして、考えろ」と著者は言う。やっぱりそこにしか解決策はないのだろうか。でも、考えるってむずかしいんだよね。いつの間にか、僕なんて寝てるからね。もしかしたら、「検索バカ」って僕のこと?
まさむね

ビートルズ »

[17 11 月 2008 | No Comment | | ]

RUBBER SOUL
TOCP-51116
1965年12月3日発売(英)
●勿論、全米、全英ナンバー1アルバムに。
●Rubber Soulとは、ストーンズがアメリカの評論家からプラスティックソウル(偽の黒人音楽)と揶揄されたのを面白がって、じゃあ僕たちはラバーソウルだっていって適当につけた名前。
●ブライアン・ウィルソンがこのアルバム(米版)を聴いて驚愕し、「ペットサウンズ」の制作に至る。

僕が持っているLPの解説には、「ロックにはじめて芸術的評価を与えた問題作」、感覚のロックに知性の息吹が横溢!」!と書かれている。
この時期、ビートルズは初めて自分たちが何をしたいのかを自覚し、それを音楽から詩からジャケットにまで統一的に反映させるような力を持つことが出来るようになっていたんだね。
「ラバーソウル」のテーマは成長、そして男と女だ。今までのラブソングはストレートな心情を吐露するものが多かったが、このアルバムからはそんな自分の姿を客観的に捉え、物語として、そして哲学的に表現するような曲が増えていった。
「ラバーソウル」の曲を、無理矢理に分けるならば、初期の尻尾のようなものを感じるのが、You won’t see me、消えた恋、君はいずこに、Wait、浮気娘、If I Needed Someoneなど。次の時代を予感させるのが、Drive my car、ノルウェーの森、ひとりぼっちのあいつ、Girl、The Word、In my life、Michelle、嘘つき女かな?
また、このアルバムのタイトル名「ラバーソウル」、何気なくつけられたというこの名前だが、ちょうど、青春を象徴するスニーカー(ゴム底靴)の意味でもある。彼らが自分達で「立つ」「走る」意志を表現したと言えるのではないか。 そして、 勿論、マリファナの影響も忘れることは出来ない。
いろんな意味で大人になった彼らの新しい表現こそがこのアルバムの聴き所だ。

Drive My Car
★★★★☆
◆(Lennon=Maccartney) V=Paul 収録日=1965/10/13
●ジョンが最初作った歌詞をポールが気に入らず、没にしたことによって、一瞬、険悪な雰囲気になったと言われている。
●Drive my car とは、「セックスする」の隠語。

物語仕立ての詞。これは、ポールのお家芸だ。スターを夢見るちょっとアバズレな女の子。その女の子の魅力に取り付かれた情けない男、その二人の物語だ。(私は、この歌の主人公は女だと思う)
Baby you can drive my car
Yes I’m gonna be a star
Baby you can drive my car
And maybe I love you
ベイビー あたしの運転手にしてあげる。
ええ あたしはスターになるの
そしたら あんたを運転手に雇ってあげる
ついでに愛してあげてもいいわ
ようするにこの男は、アッシー君(これって死語?)ということだ。女は言う。
Working for peanuts is all very fine
But I can show you a better time
あくせく働くのも悪かないけど
もっといい暮らしをしたいと思わない?
この時のworkingの発音が面白い。カタカナで書けば通常だったら、ワーキング。ただここでは、ワルキング。この巻き舌は、リバプール訛(スカウス)。この女の子が、労働者階級の出身だって事がわかる。
And she said listen baby I got something to say
I got no car and it’s breaking my heart
But I’ve found a driver and that’s a start
ちょっと待って 断っとくけど
情けないことにあたし まだ車を持っていないの
でも まずは運転手が見つかったものね
この楽天性がこの女の子の魅力であり、この歌の魅力だ。
ちなみに、この女性がその後どうなったのか。ホワイトアルバムのHoney pieがその続きだと僕は思っている。
オープニングのギターめっちゃカッコいい。Rubber Soulの斬新性をこの音ですべて表現している。

Norwegian Wood
★★★★★
◆(Lennon=Maccartney) V=John 収録日=1965/10/21
●ノルウェーの森という邦題は実は誤訳。正しく訳すとノルウェー製の家具となる。
●村上春樹の「ノルウェーの森」はこの曲のタイトルからとっている。
●ジョージがはじめてシタールを使用した曲。
Drive my carがポールの物語だとすれば、このNorwegian Woodはジョンの物語だ。
この歌に出てくる女の子はどこかミステリアスだ。部屋にはイスがないっていうのがそのことの暗喩になっている。男がどこに腰を下ろしたらいいかわからない部屋=男がどういったスタンスを取ればいいのわからない女ということだ。
(ちなみに、別解釈として、また、イスがなくてどこに座ったらいいのかわからない男=Nowere man ということもできる)
ワインを飲みながら話し込む2人。時刻は、深夜の2時。彼女は「明日、朝から仕事なの」って一人で寝てしまい、男は一人ぼっちになり、こそこそBathで寝る。そして次の日の朝、起きてみると彼女は既にいない。男は一人、火をつける。
And …

ビートルズ »

[17 11 月 2008 | No Comment | | ]

REVOLVER
TOCP-51117
1966年8月5日発売(英)
●1966年4月~6月に録音された。
●イギリスの音楽誌「Q」が2000年に音楽ライターを対象に実施した投票「史上最高のアルバム」で1位に選出される。
●タイトルの「リボルバー」は日本公演の時の警護の警察官の拳銃を見て思いついたという。
●ジャケットはハンブルグ時代の友人、クラウス・フォアマンによる。グラミー賞のジャケットデザイン賞を獲得。
●彼らが本物のアーティストになったアルバムだと思う。(Char)

ビートルズが1曲、1曲毎に珠玉のアイディアを出しまくって作ったアルバム。
このアルバムが発売されてすでに40年経った現代、これほどに独創的に、そしてこれほどまでに考えて、音作りをすることはあるんだろうか。
おそらく、この頃のビートルズには、自分達は何でも出来るっていう自信があったんだと思う。その、パワーが全曲にみなぎっている、そんなアルバムだ。そして、このアルバムの背景には確実にドラッグカルチャーがある。自分の意識を広げるため、みんなと連帯するため、そして世界を変革するため、この時代、ドラッグの力が信じられたんだよね。
さて、このアルバムが発売されたとき、「リボルバー」という名前の前に候補に上がっていた名前は「アブダ・カダブラ」っていうらしいんだけど、この魔法の呪文こそ、ビートルズマジックが炸裂したこのアルバムにふさわしかったのかも。ただ、「リボルバー」(Revolver)というのは回転式拳銃のことだが、単語を分解してみると、re-evolve-er(再び-進化する-人)という意味になる。初期のアイドルビートルズから、徐々にアコスティックサウンドに傾斜し、そしてさらなる進化を示したのがこのアルバムという自負の表れか。
しかし、このビートルズマジックが完璧な世界を構築したかといえばどうだろうか。僕はそうは思えない。それぞれの曲には、ザラザラとした感触が、また、曲順にも不完全感が残っている。
しかし、面白いものでRevolverの不完全さこそ、Revolverの可能性でもある。
現代、このアルバムがまだ輝き続けているとすれば、そのアルバムに潜む好奇心、意欲、自信、遊び心、そしてこの不完全性=可能性があるからに違いない。

Taxman ★★★★☆
◆(George) V=George 収録日=1966/4/21,22,5/16
●1991年の東京公演で演奏した。
●ビートルズ初の社会派ソングといわれたが、それほどの奥深さはあるか?
●タンバリンの入り方がなんとも不思議。この中途半端さは、ジョンとポールによって実験場とされてしまったジョージの曲の一例か。 (他には「嘘つき女」のファズベース、「I Want To Tell You」のフェードイン等)
この「リボルバー」にはジョージの曲は3曲も収録されている。いわゆるジョージ率がかなり高いアルバムだ。ビートルズには、ジャケットでは、そのアルバムで最も光っているメンバーの目線がこちらを向いているという法則があるが、このリボルバーでは、このジョージがまっすぐこちらを向いている(イラストではあるけど)。ちなみに、ジョン一人がこっちを向いているのが「ラバーソウル」、ポール一人がこっちを向いているが「レットイットビー」である。
楽曲的に言えば、ポールの弾くベースとディストーションのかかったリードギターがかっこいい。なんだ、かっこいいのはポールだったか。ジョージの曲なのに。 でも、曲もロックンロールとして普通に素晴らしい。後、この曲でカッコいいのは、曲の始まり。間近で聞こえるジョージのカウント、それをさえぎって、遠方で誰かの声。曲はその遠方の「フォー」というカウントに従って始まる。ノッケから意表をつく。さすがビートルズだ。
私はこの奥の声の主はリンゴだと思うが、どうでしょうか?
歌詞的に言えば、税金が高い~っていってるだけかと思ったら、やっぱりジョンが入れ知恵したパートは一味違うね。
Now my advice for those who die (Taxman)
Declare the pennies on your eyes (Taxman)
死に行く人々にご忠告いたしますが
まぶたに乗せたコインも申告もれなきように
ポールのベースのテク凄い。ギターも最高。

Eleanor Rigby ★★★★★
◆(Lennon=Maccartney) V=Paul 収録日=1966/4/28,29,6/6
●ポールひとりで歌。バックは管弦楽のみ。
●「Father McKenzie」 は空耳として「はざまけんじ~♪」と聞こえる。
●グラミー賞の最優秀ソロボーカルパフォーマンス賞を受賞。

エリナリグビーという孤独なおばあさんとマッケンジーという孤独な神父の話。
Father McKenzie writing the words of a sermon that no one will hear
No one comes near
マッケンジー神父は誰もきいてもらえない説教の原稿を書く
彼に近づくものはいない
最初このMcKenzieをジョンは、McCartneyにしようとしたという。当時、段々、グループの中でも横暴になりかけていたというポールに対する最大なあてつけですな。でも、ポールはそれを避け、電話帳から、このMcKenzieという名前をさがしてつけたという。ちなみに僕が15年位前にカナダに住んでいた時、家の近くにMcKenzie street っていう淋しい通りがあったな。
楽曲的には僕が好きな曲の1曲だ。1984年の主演映画「Give My Regards To Broad Street」の中でギターで引き語っていたポールはかっこよかったな。
でも、僕の印象だと、この曲はビートルズの曲の中でも孤高の位置にあると思う。他にこの曲に近いのがないんだよな。暗いリアリズムに基づいた詩の世界観、性急な感じのメロディ、とそれを引き立てる弦楽器のみのアレンジ、どれをとっても、あんまり類似曲がないでしょ。
どうしてこの時期、どういうモティーフでこんな深遠な曲を作ったんだろう、そしてどういう意図でイエローサブマリンのB面に置いたんだろう。さらに、ポールとジョン、どちらが主導で作ったのかという基本的なところでも論争があるんだよね。
それにしても不思議だ。
僕は、 ビートルズの曲の基本はファンタジーだと思っている。それは、いわゆるダーティリアリズムとは別世界だ。例えば、ビリージョエルの「ピアノマン」とかブルーススプリングスティーンの「ボーン イン ザ U.S.A」の歌詞の世界にあるような、普通の市井の庶民の生活を淡々と描くような世界とは違う。しかし、ビートルズの曲の中で、このEleanor Rigbyだけが、ダーティリアリズムの世界の曲なのだ。
この曲だけ、ファンタジーではなく、ファンタジーを持つ人々を客観的に眺めるという視線からの曲なのである。僕がこの曲を不思議だと思うのは、そういったことにも原因がある。
とてつもない名曲。 言葉になりません。

I’m Only Sleeping ★★★☆☆
◆(Lennon=Maccartney) V=John 収録日=1966/4/27,29,5/5,6
●ギターソロはテープの逆回転。

あくせく働く現代人に対する社会風刺っていうのが一般的な言い方になるんだろうけど、これもマリファナソングだろうな。
Please, don’t spoil my day, I’m miles away
And after all I’m only sleeping
僕の一日をだいなしにしないで
はるかな国をさまよう僕
とにかくこのまま眠っていたいんだ
このI’m miles awayを、どう解釈するかだと思うよ。夢の国って解釈するか、幻覚の世界って解釈するか、それはこの曲を聞いたリスナーが判断すればいい話だよね。
僕は、ジョンがこの曲で試そうとしたのは、とにかく、自分の「眠い、休みたい」っていう感覚を音楽で表現してみようってことだったんじゃないかと思う。テープの回転数を変えたり、逆回転音をギターソロに使ったり、それはあくまで、表現手法の話。ジョンの試みが成功したと捉えるか、失敗したと捉えるか、この曲の評価はそれにかかっていると思う。
「眠い」っていう状況を音楽にしたらこうなった?

Love You To ★★★☆☆
◆(George) V=George 収録日=1966/4/11,13
●ポールとジョンは不参加。リンゴはタンバリンで参加。
●シタールはジョージが弾いている(という)。

ジョージは自分の歌の題名をつける時かなり、いいかげんだったという。レノン=マッカートニーの曲はタイトルが歌詞の中にそのまま出てくるケースが多いんだけど、曲数が少ないジョージは、それにしてはそうじゃないパターンが多い。ざっと上げてみると、Love you to、For your blue、The inner light、Within you without …