Articles Archive for 11 月 2008
ビートルズ »
REVOLVER
TOCP-51117
1966年8月5日発売(英)
●1966年4月~6月に録音された。
●イギリスの音楽誌「Q」が2000年に音楽ライターを対象に実施した投票「史上最高のアルバム」で1位に選出される。
●タイトルの「リボルバー」は日本公演の時の警護の警察官の拳銃を見て思いついたという。
●ジャケットはハンブルグ時代の友人、クラウス・フォアマンによる。グラミー賞のジャケットデザイン賞を獲得。
●彼らが本物のアーティストになったアルバムだと思う。(Char)
ビートルズが1曲、1曲毎に珠玉のアイディアを出しまくって作ったアルバム。
このアルバムが発売されてすでに40年経った現代、これほどに独創的に、そしてこれほどまでに考えて、音作りをすることはあるんだろうか。
おそらく、この頃のビートルズには、自分達は何でも出来るっていう自信があったんだと思う。その、パワーが全曲にみなぎっている、そんなアルバムだ。そして、このアルバムの背景には確実にドラッグカルチャーがある。自分の意識を広げるため、みんなと連帯するため、そして世界を変革するため、この時代、ドラッグの力が信じられたんだよね。
さて、このアルバムが発売されたとき、「リボルバー」という名前の前に候補に上がっていた名前は「アブダ・カダブラ」っていうらしいんだけど、この魔法の呪文こそ、ビートルズマジックが炸裂したこのアルバムにふさわしかったのかも。ただ、「リボルバー」(Revolver)というのは回転式拳銃のことだが、単語を分解してみると、re-evolve-er(再び-進化する-人)という意味になる。初期のアイドルビートルズから、徐々にアコスティックサウンドに傾斜し、そしてさらなる進化を示したのがこのアルバムという自負の表れか。
しかし、このビートルズマジックが完璧な世界を構築したかといえばどうだろうか。僕はそうは思えない。それぞれの曲には、ザラザラとした感触が、また、曲順にも不完全感が残っている。
しかし、面白いものでRevolverの不完全さこそ、Revolverの可能性でもある。
現代、このアルバムがまだ輝き続けているとすれば、そのアルバムに潜む好奇心、意欲、自信、遊び心、そしてこの不完全性=可能性があるからに違いない。
Taxman ★★★★☆
◆(George) V=George 収録日=1966/4/21,22,5/16
●1991年の東京公演で演奏した。
●ビートルズ初の社会派ソングといわれたが、それほどの奥深さはあるか?
●タンバリンの入り方がなんとも不思議。この中途半端さは、ジョンとポールによって実験場とされてしまったジョージの曲の一例か。 (他には「嘘つき女」のファズベース、「I Want To Tell You」のフェードイン等)
この「リボルバー」にはジョージの曲は3曲も収録されている。いわゆるジョージ率がかなり高いアルバムだ。ビートルズには、ジャケットでは、そのアルバムで最も光っているメンバーの目線がこちらを向いているという法則があるが、このリボルバーでは、このジョージがまっすぐこちらを向いている(イラストではあるけど)。ちなみに、ジョン一人がこっちを向いているのが「ラバーソウル」、ポール一人がこっちを向いているが「レットイットビー」である。
楽曲的に言えば、ポールの弾くベースとディストーションのかかったリードギターがかっこいい。なんだ、かっこいいのはポールだったか。ジョージの曲なのに。 でも、曲もロックンロールとして普通に素晴らしい。後、この曲でカッコいいのは、曲の始まり。間近で聞こえるジョージのカウント、それをさえぎって、遠方で誰かの声。曲はその遠方の「フォー」というカウントに従って始まる。ノッケから意表をつく。さすがビートルズだ。
私はこの奥の声の主はリンゴだと思うが、どうでしょうか?
歌詞的に言えば、税金が高い~っていってるだけかと思ったら、やっぱりジョンが入れ知恵したパートは一味違うね。
Now my advice for those who die (Taxman)
Declare the pennies on your eyes (Taxman)
死に行く人々にご忠告いたしますが
まぶたに乗せたコインも申告もれなきように
ポールのベースのテク凄い。ギターも最高。
Eleanor Rigby ★★★★★
◆(Lennon=Maccartney) V=Paul 収録日=1966/4/28,29,6/6
●ポールひとりで歌。バックは管弦楽のみ。
●「Father McKenzie」 は空耳として「はざまけんじ~♪」と聞こえる。
●グラミー賞の最優秀ソロボーカルパフォーマンス賞を受賞。
エリナリグビーという孤独なおばあさんとマッケンジーという孤独な神父の話。
Father McKenzie writing the words of a sermon that no one will hear
No one comes near
マッケンジー神父は誰もきいてもらえない説教の原稿を書く
彼に近づくものはいない
最初このMcKenzieをジョンは、McCartneyにしようとしたという。当時、段々、グループの中でも横暴になりかけていたというポールに対する最大なあてつけですな。でも、ポールはそれを避け、電話帳から、このMcKenzieという名前をさがしてつけたという。ちなみに僕が15年位前にカナダに住んでいた時、家の近くにMcKenzie street っていう淋しい通りがあったな。
楽曲的には僕が好きな曲の1曲だ。1984年の主演映画「Give My Regards To Broad Street」の中でギターで引き語っていたポールはかっこよかったな。
でも、僕の印象だと、この曲はビートルズの曲の中でも孤高の位置にあると思う。他にこの曲に近いのがないんだよな。暗いリアリズムに基づいた詩の世界観、性急な感じのメロディ、とそれを引き立てる弦楽器のみのアレンジ、どれをとっても、あんまり類似曲がないでしょ。
どうしてこの時期、どういうモティーフでこんな深遠な曲を作ったんだろう、そしてどういう意図でイエローサブマリンのB面に置いたんだろう。さらに、ポールとジョン、どちらが主導で作ったのかという基本的なところでも論争があるんだよね。
それにしても不思議だ。
僕は、 ビートルズの曲の基本はファンタジーだと思っている。それは、いわゆるダーティリアリズムとは別世界だ。例えば、ビリージョエルの「ピアノマン」とかブルーススプリングスティーンの「ボーン イン ザ U.S.A」の歌詞の世界にあるような、普通の市井の庶民の生活を淡々と描くような世界とは違う。しかし、ビートルズの曲の中で、このEleanor Rigbyだけが、ダーティリアリズムの世界の曲なのだ。
この曲だけ、ファンタジーではなく、ファンタジーを持つ人々を客観的に眺めるという視線からの曲なのである。僕がこの曲を不思議だと思うのは、そういったことにも原因がある。
とてつもない名曲。 言葉になりません。
I’m Only Sleeping ★★★☆☆
◆(Lennon=Maccartney) V=John 収録日=1966/4/27,29,5/5,6
●ギターソロはテープの逆回転。
あくせく働く現代人に対する社会風刺っていうのが一般的な言い方になるんだろうけど、これもマリファナソングだろうな。
Please, don’t spoil my day, I’m miles away
And after all I’m only sleeping
僕の一日をだいなしにしないで
はるかな国をさまよう僕
とにかくこのまま眠っていたいんだ
このI’m miles awayを、どう解釈するかだと思うよ。夢の国って解釈するか、幻覚の世界って解釈するか、それはこの曲を聞いたリスナーが判断すればいい話だよね。
僕は、ジョンがこの曲で試そうとしたのは、とにかく、自分の「眠い、休みたい」っていう感覚を音楽で表現してみようってことだったんじゃないかと思う。テープの回転数を変えたり、逆回転音をギターソロに使ったり、それはあくまで、表現手法の話。ジョンの試みが成功したと捉えるか、失敗したと捉えるか、この曲の評価はそれにかかっていると思う。
「眠い」っていう状況を音楽にしたらこうなった?
Love You To ★★★☆☆
◆(George) V=George 収録日=1966/4/11,13
●ポールとジョンは不参加。リンゴはタンバリンで参加。
●シタールはジョージが弾いている(という)。
ジョージは自分の歌の題名をつける時かなり、いいかげんだったという。レノン=マッカートニーの曲はタイトルが歌詞の中にそのまま出てくるケースが多いんだけど、曲数が少ないジョージは、それにしてはそうじゃないパターンが多い。ざっと上げてみると、Love you to、For your blue、The inner light、Within you without …
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SGT. PEPPER’S LONELY HEARTS CLUB BAND
TOCP-51118
1967年6月1日発売(英)
●この年(1967年)のグラミー賞4部門を獲得。ロックの金字塔と言われるが、金字塔って何?
●RIAA(全米レコード協会)によると全米で1100万枚を売り上げた。
●700時間の録音時間を費やして作成。史上初のコンセプトアルバムといわれた。
●Music of the millenium(1999年に英で行われた60万人参加の投票)で史上最高のアルバムに選出される。
●「ローリングストーン」誌のBEST200アルバムの1位に選出される。
●PLAYBOY誌通産400号ロックアルバムベスト100の1位に選出される。
●この作品には時代のスピリットが詰め込まれている。(スティーブ・マックルーア)
異様なジャケットには、ビートルズの4人の他に、カール・グフタス・ユング(心理学者)、エドガー・アラン・ポー(詩人兼批評家) 、ボブ・ディラン(ミュージシャン) 、マリリン・モンロー(女優) 、ウィリアム・バローズ(作家) 、カール・マルクス(経済学者) 、オスカー・ワイルド(作家)等、現代を代表する、あるいは現代に多大な影響を与えたお歴々が顔を連ねる。
このアルバムは史上初のコンセプトアルバムとよばれたが、それはでっち上げだって言う人も多い。ただ、全曲にわたっての統一感は感じるんだよね。前作につづき、ドラッグカルチャの影響下にあることは否定できない。アルバムは、トータルで覚醒と睡眠の連続で成り立っているような気がする。She’s leaving home の両親、Good Morning Good Morningにおける小市民、そしてA day in the lifeにおける学生。それぞれに朝を向かえ、様々なドラマに遭遇する。
しかし、それは本当の現実なのかあるいは、別の幻想なのか、それは誰にもわからない。人々は争い、孤独を感じ、楽しみながら毎日を過ごす。でも個々人のそういった人生とは別に社会は何事も無かったかのように日々を重ねる。
そんな日常に潜む恐ろしさ、嫌、日常自体の不気味さ。このアルバムを聞くとそういったもの全部が感じられる。
このアルバムがコンセプトアルバムだとするとそのテーマは現代社会そのものだ。
Sgt.Pepper’s Lonely Hearts Club Band
★★★★☆
◆(Lennon=Maccartney) V=Paul,John 収録日=1967/2/1,2,3/3,6
●ビートルズがSgt.Pepper’s Lonely Hearts Club Bandという架空のバンドに扮してアルバムで1つのコンサートを行おうというコンセプトはポールのアイディア。
●曲の始めの喧騒に中から「ポールのアホ」と聞こえる(?)。
●ピンクレディーのペッパー警部はこのアルバムタイトルからのパクリ。
●60年代のグループサウンズ(例えばスパイダース)のミリタリールックはこのアルバムのジャケ写からのパクリ。
ペパーの主題はなんだろうかと考える。Lonely hearts club(直訳=寂しい心倶楽部) っていうのは、イギリスの中高年の結婚相談所みたいなものって聞いたことあるけど、現代の孤独の象徴みたいなもんかな。
表面的にはみんな楽しそうだけど、一皮向けばみんな孤独でしょみたいなメッセージがこのアルバムには込められているんじゃないかな。でもビートルズはただ、孤独だ~って言ってるわけじゃなくて、だからこそ、友達の助けが必要だったり、ドラッグが必要だったり、恋人が必要だったり、家庭が必要だったり、音楽が必要だったり、愛が必要だったりということをメッセージとして伝えてるんだな。
ところで、このアルバムでのジョージの影の薄さはどうだ。Within You Without Youという名作を提供して入るものの、その他の曲では全く目立たない。Sgt.Pepper’s Lonely Hearts Club Band、Getting Better、Good Morning Good Morning等のリードギターは全てポールの手によるものだ。また、Being For The Benefit Of Mr.Kiteではバスハーモニカ、A Day In The Lifeではマラカス(しかも、音を抑えろってジョンに怒られる。)ってそれって別にジョージである必要ないじゃん。かわいそうなジョージ。Within You Without Youのところで誉めるからね。
演奏的には、ポールのリードギターが冴える。
With A Little Help From My Friends
★★★☆☆
◆(Lennon=Maccartney) V=Ringo 収録日=1967/3/29,30
●このFriendとはマリファナのこと。
●オープニング曲で紹介されたビリー・シアーズ、正体はリンゴスター。
What would you think if I sang out of tune,
Would you stand up and walk out in me.
僕の歌が調子っぱずれだったらどう思うかい
席を立って僕を見放してしまうかい?
っていきなり自分は歌が下手だって歌わされたリンゴの気持ちはどうなんだ。って心配することも無い。嬉々として歌うリンゴ。お人柄がしのばれます。
この曲の歌詞で最も注目すべきは以下のフレーズだろう
What do you see when you …
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MAGICAL MYSTERY TOUR
TOCP-51124
1967年11月27日発売(米)
●A面は同名タイトルのテレビ映画のサントラ。
●イギリスのBBCで初放送(1967年12月26日)され高視聴率を獲得したが、視聴者、メディアから酷評される。
●このアルバムはもともとアメリカのキャピタルの編集版だった。
芸術的な余りに芸術的な。
マジカルミステリーツアーは、ストーリーじゃなくて、それぞれのシーンを見せる、それぞれの音楽を聴かせるそのための映像の芸術だ。
理解できないところも多いけど、理解なんて必要ないってことを全編で伝えている。当時、BBCで放送された時には酷評を受けたが、後に、MTVの先駆的作品として、伝説となる。このあたりが、ビートルズの偉大なところだよね。時代が後から着いて来るんだもん。
また、アルバムの方も、Hello Good-Bye、 I am the Warlus、Strawberry Fields ForeverやPenny Lane、愛こそはすべて等、キャラの立った作品群は圧倒的な存在感を示してくれる。
僕はこのアルバムがビートルズのアルバムの中で最も芸術的だと思うよ。
Magical Mystery Tour
★★★☆☆
◆(Lennon=Maccartney) V=Paul 収録日=1967/4/25,26,27,5/3,11/7
●映画「Magical Mystery Tour」のタイトルテーマ曲としてポールが作曲。
●三菱自動車のCMに使用されていた。
テレビ映画「Magical Mystery Tour」のテーマ曲としてポールがちゃちゃっと作り、コーラス部分のフレーズをジョンが手伝ったみたいなそんな感じで出来たんだろうな。
ポールの職業作曲家として才能を見せつけるような一曲。車のCMや、よく旅番組のジングルで使われる。
曲のエンディングに不協和音部分が出てくるところがとってもビートルズっぽい。
Glass Onionとか、Cry Baby cryとか、I am the Walrusとか、Strawberry fields foreverとか、Long,long,longとか、ビートルズには不安を残すようなエンディングって多いよね。
そしてこの不気味なエンディングは、これから皆様をお連れするMagical Mystery Tourは夢の世界でしょうか、現実の世界でしょうか、っていう謎へのいざないですな。
ポールが音楽職人としても一流である事を示した曲。
The Fool On The Hill
★★★★☆
◆(Lennon=Maccartney) V=Paul 収録日=1967/9/25,26,27,10/20
●リコーダーはポール。
●地動説を唱えて処刑されたガリレオ=ガリレイをイメージしている。
中学の頃、たて笛でこの曲をよく練習したよな。上手く弾けなかったけどね。
映画「Magical Mystery Tour」では、山の上のポールの横顔、鼻が高かったよな。西洋人にはかなわないなって思ったもんだ。
ジョンが後にGlass Onionで丘の上のバカはまだそこに住んでいるよっていうのは、お山の大将になってみんなを仕切るポールへの最高の皮肉なんだろうか。
でも、ジョンとポールの二人は根本的に仲良しだからさ、ジョンの皮肉にも愛情がこもってるんだろうけど(ファンとしては、そう考えないと夢が無い)。
この時期のポールの曲の自然さはまさに天才。ロックというジャンルをはるかに超えたメロディ。
Flying
★☆☆☆☆
◆(Lennon=Maccartney George Ringo) Instrumental 収録日=1967/9/8,28
●ビートルズ唯一のインストゥルメンタルとアーアアーアーアアアー♪のコーラスのみのナンバー。
映画の中では、確か、空の上の映像とシンクロさせて流してたな。TVで初公開したとき、白黒だったんで評判が悪かった。そりゃ、雲の上を白黒映像じゃ面白くないよね。
ビートルズには元々、楽器テクを見せ付けようっていう発想はないんだってことを再認識させる曲。
Blue Jay Way
★★☆☆☆
◆(George) V=George 収録日=1967/9/6,7,10/6
●Blue Jay Wayというのは実際のL.A.の地名。
●ジョージがデレク・テイラーを待ちくたびれたという実話をもとにしている。
霧深いロサンゼルスの夜をよく音で表現している。
Within you without youを作った哲学者ジョージにしては、歌詞の内容が寂しい気もするね。友達を待って待って、朝が来ちゃうよ。早く来てくれよ、ってそれで終わっちゃうんだからね。多分、ポールだったら、ニヤリとさせるような、なんらかのオチをつけただろうに。
しかし、これだけのネタで一曲にしちゃうんだから、なかなかやってこなかったテイラーを本当に許せなかったんだろうな。ジョージ。でも、テーマが超個人的なせいか、ファン受けはしない曲だよね。
音自体に霧がかかったような曲。
Your Mother Should Know
★★★★☆
◆(Lennon=Maccartney) V=Paul 収録日=1967/8/22,23,9/16,29
●映画の最後に4人で階段から踊りながらおりてくるシーンで使用された。
●リンゴのハイハットの入り方が面白い。
●ポールの左胸につけたバラの花が黒い。それをして、ポール死亡説の一因とされた。
階段を下りてくるときのジョンの作り笑顔。目が笑ってないのには逆に笑わされたな。
あのシーンの見所は、誰がなんと言ってもジョンの顔だよ。
仕切っているのはポールでも、この画面で一番、花があるのはジョンってことさ。
このアルバム、Flying、Blue Jay Way、Your Mother Should Knowって3曲続けて、なんとなく手抜き感がある。特にこの曲、3番は歌詞が出来なかったのか、ダダッダダになっている。多分、時間がなかったんだろうな。でも、曲の方はさすがポール。長調と短調が入り混じるっていうか、明るかったと思ったら暗かったという彼特有のメロディはいいなぁ。
ところで、Sgt.Pepper’s Lonely Hearts Club Bandは、20年前のバンドっていう想定だし、この曲は母親の時代のヒット曲へのオマージュ。亡くなった母親の事を、想っていたんだろうな。この頃(1967年当時)のポール。
でも別の疑問もある。この曲とジョージのIt’s all too much。比較的近い時期に登場したこの2曲に、Your Motherという単語が登場する。ここでいうYourって誰なんだろうっていうのがここでのささやかな疑問。
ポールがボードビル調の曲嫌いのジョンに対して、「昔の曲も悪くないだろう、君のママが生まれる前の曲だよ。」って語りかけてるようにも聞こえる。
一方、It’s all too muchの冒頭のTo your Moはちょっと悪意あるようにも受け取れる。この曲は、「愛、愛ってそりゃもう沢山だ」っていう歌詞だからね。もしかしたら、こっちのMoはその頃、レコーディングにもちょくちょく顔を出すようになっていたヨーコへのあてつけかもね。
機嫌がいい時に階段を降りると思わずこの曲が口をつく。そんな曲。
I Am The Walrus
★★★★★
◆(Lennon=Maccartney) V=John 収録日=1967/9/5,64,27,28
●歌詞は鏡の国のアリスからのモチーフ(ハンプティダンプティ=エッグマン)。
●最後のリズムは来日したとき、星加ルミ子からもらった日本の民謡の「斉太郎節」からのパクリ。
●エンディングの朗読はシェークスピアのリア王の劇場中継より。
I am the eggman, they are the eggmen
I am the walrus, goo goo g’joob
僕はエッグマン、奴らもエッグマン
僕はセイウチ ググーグジュー
the eggmenっていうのは、顔の無い男ってことでしょ。すなわち、自分の無い男、個性の無い男の事だよね。また、セイウチは鏡の国のアリスからの拝借、goo goo g’joobは、いい仕事って事だな。じゃあ、この文脈をどう解釈する?
ポールに仕切られて、Magical …
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THE BEATLES(DISC-1)
TOCP-51119-20
1967年11月22日発売(英)
●ビートルズ初の2枚組。アップルレコードからの最初のLPとなる。
●RIAA(全米レコード協会)によると全米で1900万枚を売り上げた。
●誰が名付けたのか「ホワイトアルバム」と呼ばれる。真っ白なジャケットには、特製の歌詞付ポスター、シリアルナンバーがついていた。
●聴く人間の年齢、音楽経験値、そんなもので印象がまったく違ってくるアルバムであり、広大なビートルズ宇宙が今も広がっている事を痛感させられる。(大鷹俊一)
●もともとはA doll’s house(人形の家)というタイトル名が考えられていたが、同じ時期、ファミリーというグループが「Music in a doll’s house」という名前のアルバムでデビューしてしまったためこの案は破棄されたという。(「愛の事典」より)
Sgt.Pepper’s Lonely Hearts Club Bandであらゆることをやってしまったビートルズ。彼らの次なる仕事がこのThe Beatlesだった。でもとにかく、演りたい曲をどんどん録音していって後で2枚組にしたって感じもしなくない。音楽ジャンル的には、ロック、フォーク、カリプソ、カントリー、ヘビーメタル、バロック、ブルース、ムード歌謡、童謡、ポップス、アバンギャルド等、あらゆる音楽が詰め込まれていると評されることが多い。
でもよく聴いてみるとトータルで彼らが当時もっていたテーマが見えてくる。 それは、個人と全体、個人と社会、個人とビートルズその相克だ。Revolutionでジョンが発表する「みんな」としては革命には協力するよ、でも僕個人はちょっと待てってそういう揺らぎ。
一人一人のやりたい音楽とビートルズとしてやるべき音楽、その2つに揺れ動いた彼らの内面と、騒乱の時代1968年が見事にシンクロしたとき、このアルバムが生まれた。ポールが夜中、一人でMother Nature’s sonを録音している同じ日の夜、ソ連がチェコに侵攻している。そんな時代だったんだ。
このアルバムが「The Beatles」っていう名前に落ち着く前、「A doll’s House(人形の家)」だったということは示唆的だ。The Beatlesという絶対の存在の前で、ビートルズの一員という役割に限界を感じていたジョン。彼にとってのビートルズとは、この時期、人形の家(不自由な家)にすぎなかったということではないのか。
しかし、結局は、「The Beatles」という名前に落ち着く。「A doll’s House」こそが「The Beatles」だっていう隠しテーマを残したまま...
アルバム一つ一つにユニークに付けられたシリアルナンバーは体制の中で唯一、個を区別する記号だったのか。ちなみに、私が持っていたLPの番号は、A190657であった。ちなみに0000001番は、ジョンが持っていたという。
Back in the U.S.S.R.
★★★★★
◆(Lennon=Maccartney) V=Paul 収録日=1968/8/22,23
●タイトルは、チャックベリーのBACK IN THE USAのパロディ。
●コーラスはビーチボーイズのパロディ。
●また、レイ・チャールズの「Georgia’s always on my my…mind」のパロディ。
●リンゴは、一時脱退していて参加していない。ドラムスはポール。後に、このドラミングをリンゴは褒めている。
当時のソ連っていうのは、西側諸国からしてみれば脅威の国だよね。暗黒の警察、官僚、共産党の圧制国家だ。
ちょうど、この曲が収録された前の月にソ連はチェコスロバキアに侵攻した。いわゆるプラハの春(自由)をつぶしたんだ。
だから、当時のソ連っていうのは今でいうならば、北朝鮮みたいなイメージの国。だから、この「Back in the U.S.S.R.」って、「北朝鮮へ帰れ」みたいなニュアンスで捕らえるのが近いんじゃないかな。
楽曲的に言えば、ポールがリードギターを弾いている。ポールのリードギターっていうのはディストーションが効いていて迫力あるんだよね。ジョージのギターが「音質」の澄みにこだわっているのと対照的だ。また、6弦ベースを弾いているのがジョン。ジョンが弾くベースは、地味、悪く言えばヤル気はあんまり感じられない。一方、リンゴがいないんでドラムはポール、ジョン、ジョージの3人が少しづつ叩いているらしい。はたして3人で叩く必要はあったのか。
ちなみに、歌詞の中で、ホテルに到着した主人公はホテルに到着するやいなや、連れのオンナに電話線をまずはずさせている。「You Won’t See Me」とかで電話してもつながらいことにイライラしているっていう歌詞があったけど、ポールは本質的に電話が嫌いなんじゃないかな。一方、ジョンは電話好きっていうか、電話がよく歌詞に出てくるよね。(「Any time at all」、「No reply」等)
でも、この主人公、オンナ連れのくせに「Well the Ukraine girls really knock me out They leave the West behind(ウクライナの女は、僕をノックアウトするほど、素敵だ。西側諸国の女は及びもしないぜ)」だって。ビートルズの歌詞ってこういうところ、まったく慎みがなくて可笑しいよな。
でも、こうった「好きなものは好きって言うんだ。だって僕たち自由だもん」的な価値観こそがビートルズの本質とも言えるんだけど(By 吉田拓郎「ビートルズが教えてくれた」より)。
ポールって何でも出来るんだね。ただのビーチボーイズの真似じゃない。名曲だ。
Dear Prudence
★★★★☆
◆(Lennon=Maccartney) V=John 収録日=1968/8/28,29
●インドでの瞑想キャンプ(リシュケシュ)に参加したビートルズ面々。その時一緒に参加していた女優ミア・ファロー(代表作「ローズマリーの赤ちゃん」)の妹のプルーデンス・ファローが瞑想によって、アイデンティティ・クライシスの症状に陥って、小屋にこもってしまった。そのプルーデンスを励ますために、小屋の外でジョンがこの曲を歌い彼女を出てこさせようとした。(ちなみにこのミア・ファローは、チベット問題を踏まえて、スピルバーグに、北京五輪開会式のアートプロデューサを降りるように説得したって事で、最近、ニュースになったよね。一方、プルーデンスはどこで何をしているんだろうか?)
●リンゴは全曲に引き続き不参加。ポールが代わりにドラムを叩く。エンディング近くの乱打はポールの個性。
●昔とある評論家が、この曲でドラムをポールが叩いているというのを知らなくて、リンゴはDear Prudenceの時のように激しいドラムが叩けるんだからいつもそのように叩けばいいなんてことを書いていたらしいけど、これぞ赤っ恥評論だ。ただし、ビートルズの情報は当時(70年代位まで)あんまり公表されていなかったから、攻めるのも可哀想だ。今だから笑える話ではある。
●アルペジオのギターは同じキャンプでドノバンに教わったジョンが奏でる。
今で考えるならば、ビートルズに曲を作ってもらって励まされたっていうのは、このプルーデンスとジュリアンレノン。羨ましい限りだ。音楽を奏でて閉じ篭った人を外に出させようとするっていうのは、古事記の天の岩戸の神話を思い出すよね。
Dear Prudence, won’t you come out to play
プルーデンスよ。外へ出てきて僕らと遊ぼうよ
ジョンの優しさあふれる名曲だ。
以下は、この曲で一番、僕が好きなフレーズだ。
The birds will sing that you are part of everything
鳥達は君は世界の一部なんだって歌う
あるいは、意訳すると「鳥達は、君がいなきゃ世界は世界じゃないって歌う」)
全てを関係性の中で捉える世界観は、東洋哲学を感じさせるよね。ヨーコの影響か?マハリシの影響か?ジョンの中で何かが微妙に変化しつつあったんだろうね。
このアルバムの中でも最も、リシュケシュっぽい曲。ジョンの優しさ満ち溢れ...
Glass onion
★★★★☆
◆(Lennon=Maccartney) V=John 収録日=1968/9/11,12,13,16,10/10
●Strawberry Fields Forever、I Am The Walrus、Lady Madonna、The Fool On The Hill、Fixing A …
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THE BEATLES(DISC-2)
TOCP-51119-20
1967年11月22日発売(英)
●ビートルズ初の2枚組。アップルレコードからの最初のLPとなる。
●RIAA(全米レコード協会)によると全米で1900万枚を売り上げた。
●誰が名付けたのか「ホワイトアルバム」と呼ばれる。真っ白なジャケットには、特製の歌詞付ポスター、シリアルナンバーがついていた。
●聴く人間の年齢、音楽経験値、そんなもので印象がまったく違ってくるアルバムであり、広大なビートルズ宇宙が今も広がっている事を痛感させられる。(大鷹俊一)
●もともとはA doll’s house(人形の家)というタイトル名が考えられていたが、同じ時期、ファミリーというグループが「Music in a doll’s house」という名前のアルバムでデビューしてしまったためこの案は破棄されたという。(「愛の事典」より)
Sgt.Pepper’s Lonely Hearts Club Bandであらゆることをやってしまったビートルズ。彼らの次なる仕事がこのThe Beatlesだった。でもとにかく、演りたい曲をどんどん録音していって後で2枚組にしたって感じもしなくない。音楽ジャンル的には、ロック、フォーク、カリプソ、カントリー、ヘビーメタル、バロック、ブルース、ムード歌謡、童謡、ポップス、アバンギャルド等、あらゆる音楽が詰め込まれていると評されることが多い。
でもよく聴いてみるとトータルで彼らが当時もっていたテーマが見えてくる。 それは、個人と全体、個人と社会、個人とビートルズその相克だ。Revolutionでジョンが発表する「みんな」としては革命には協力するよ、でも僕個人はちょっと待てってそういう揺らぎ。
一人一人のやりたい音楽とビートルズとしてやるべき音楽、その2つに揺れ動いた彼らの内面と、騒乱の時代1968年が見事にシンクロしたとき、このアルバムが生まれた。ポールが夜中、一人でMother Nature’s sonを録音している同じ日の夜、ソ連がチェコに侵攻している。そんな時代だったんだ。
このアルバムが「The Beatles」っていう名前に落ち着く前、「A doll’s House(人形の家)」だったということは示唆的だ。The Beatlesという絶対の存在の前で、ビートルズの一員という役割に限界を感じていたジョン。彼にとってのビートルズとは、この時期、人形の家(不自由な家)にすぎなかったということではないのか。
しかし、結局は、「The Beatles」という名前に落ち着く。「A doll’s House」こそが「The Beatles」だっていう隠しテーマを残したまま...
アルバム一つ一つにユニークに付けられたシリアルナンバーは体制の中で唯一、個を区別する記号だったのか。ちなみに、私が持っていたLPの番号は、A190657であった。ちなみに0000001番は、ジョンが持っていたという。(ただし、ユニーク番号に関しての疑義が「ビートルズの謎」(中山康樹著)から出されている。
Birthday
★★★☆☆
◆(Lennon=Maccartney) V=John,Paul 収録日=1968/9/18
●このホワイトアルバムで唯一、実質的なジョンとポールの共作。
●ヨーコ、パティ、リンダまでもがコーラスに参加。
歌詞は全くいいかげん。
You say it’s your birthday
It’s my birthday too–yeah
今日は君の誕生日だって
僕の誕生日でもあるんだぜ イエー
何も考えてない歌詞だよね。ジョンが後で、クズのような曲と評したのもわかるようなわからないような。
楽曲的には、迫力があるのはいいけど、ヴォーカルが聞き取りにくいのが残念。リンゴのドラムソロも聴けるが、まったくオカズなしで同じリズムを刻む。思うにドラムソロをやらせたら、リンゴほど慎み深く、しかも飽きさせないドラマーはいないんじゃないかな。思わず、タカタカタカタカって叩いちゃうよな。普通。単調さに耐えられなくてさ。僕はこんなところにリンゴの凄みを感じるんだよな。
例えば、新宿駅のアルタの前でたまに、ストリートドラマーが一人でソロやってるけど、技術的には上手いんだけど、その速叩きは、なんだか恥ずかしいんだよな。
演奏は大迫力。カツゼツがもっとよければね。
Yer blues
★★☆☆☆
◆(Lennon=Maccartney) V=John 収録日=1968/8/13,14,20
●当時の英国ブルース・ブームを皮肉った曲。
●歌詞の中にボブ・ディランの「やせっぽちのバラッド」に出てくるミスタージョーンズが登場する。
それまでギクシャクしていたホワイトアルバムのセッションにおいて、この曲を狭い倉庫のようなところで収録し、そこから結束が強まったと言われているが、本当はどうなんだろう。というのも、この曲の収録の直後にリンゴが一時バンドを離れているからね。
このYERっていうのは、ビートルズが自分たちの象徴としてつかうフレーズだよね。「ビートルズがやってくる。ヤアヤアヤア」って言うでしょ、で、その(YERの)ブルースってことは、この曲こそがビートルズのブルースだっていう意味だと思う。
実はビートルズは自分たちのことを「ニセモノ」だっていう意識が合ったんだと思う。勿論、これは誤解を招きかねない言い方なんだけどさ。ビートルズがホワイトアルバムでいろんな種類の音楽が出来たって事は、逆にいえば、彼らは何にも所属する場所がなかったということだと思うんだよな。例えばストーンズにおけるリズム&ブルースみたいな本籍が無いのさ。ジョンは以前、どこかで、自分たちはパクリの天才だみたいな言い方もしてた。
ジョンはおそらく、イギリスにブルースブームが起きたときに、それは全部「ニセモノ」に思えたんだろうな。だからこそ、自分たちが本物の「ニセモノ」をやってやろうと思ったんだと思うよ。それがこのタイトルYer Bluesの意味だと思う。
ちなみに同じようなセンスでつけられたタイトルに「ラバーソウル」っていうのもある。アメリカの評論家がローリングストーンズの歌をニセモノのソウル(黒人音楽)だから、プラスティックソウルって呼んだのを面白がって、それなら、僕たちの音楽はラバー(ゴムの)ソウルだって自嘲気味につけたんだよね。
In the morning wanna die
In the evening wanna die
If I ain’t dead already
朝から死にたくなる
夜になればまた死にたくなる
I’m lonely wanna die
淋しくて死にたくなる
Wanna die yeah wanna die
死にたくなるよ 死んでしまいたい
ビートルズのリーダーとして世界でも最高の人気と富を得た人間が持つこの絶望の言葉はなんということだ。
外的なジョンと内的なジョンの落差に僕たちは驚くしかない。
こんな激しくてストレートな言葉が吐けるところにジョンの天才がある。
Mother Nature’s son
★★★★☆
◆(Lennon=Maccartney) V=Paul 収録日=1968/8/9,20
●ポール一人で夜中にレコーディングした。曲はインドの瞑想キャンプ(リシュケシュ)で作られた。
●レコーディング中にジョンとリンゴが入ってきたがすぐに出て行った。
以前、ビートルズで学ぶ英会話というサイトでこの曲に関して、興味深い指摘があった。
『母なる自然の子・・・と、取るのが普通ですが歌詞カード上で”Mothe Nature’s son“と大文字が使われているのに注目。この大文字が慣用句であることを表していると考えるとまったく意味が違ってきます。”Mother Nature“は「自然の摂理」という意味で、つまりマアその・・・「オシッコ」ってことです。』
なるほど、それでこの歌の2番の歌詞の真の意味がわかった。
Sit beside a mountain stream
see her waters rise
Listen to the pretty sound of music as she flies.
山のせせらぎのそばに腰を下ろし 水かさの増すのをごらん
その流れが奏でる美しい調べに耳をかたむけよう
これはこう訳すべきではないのか。
山のせせらぎのそばでしゃがんで、水かさが増すのを見る
(ここで何故、水かさが増すのかといえば、しゃがんでオシッコをするからである)
(オシッコが飛ぶ)かわいい音の調べに耳をかたむけよう
ポールの詩は、ジョンのストレートさに対してこういったイタズラがあるから別の意味で奥が深いのだ。茶目っ気あるよね。
一方、曲はこれもまた素晴らしいポールの才能がまさに山の湧き水のようにあふれている。
あとこの曲の3番にSwaying daisies(ゆれるヒナギグ)ってあるけど、このヒナギクっていうのは当時のヒッピーを象徴する花なんだよね。Dear Prudence でも、「雲がヒナギクの花輪みたいだ」という歌詞があるけど、リシュケシュはきっとヒナギクが綺麗だったんだろうね。
これもメロディといい、歌詞のお茶目さといいポールらしい名曲。
Everybody’s got something to hide except me and my monkey
★★★★☆
◆(Lennon=Maccartney) V=John 収録日=1968/6/27,7/1,23
●マハリシの講義を歌詞にしたという。
●ビートルズの曲の中で最も長いタイトル名。
この曲のポイントはMonkeyっていったい何?ってことだと思う。
ジョン自身は、Me&My …




