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Articles Archive for 23 12 月 2008

書評 »

[23 12 月 2008 | No Comment | | ]

経済政策のどこが間違っていたのか。
著者の榊原英資は、基本的に小泉・竹中路線批判の立場でこの本を書いている。
そして、その間違いの根本原因は、政府のマクロ経済分析とそれを基に立案、実行された政策にあるという。
具体的に言えば、例えば、長すぎた日銀のゼロ金利政策のことだ。
時期は、表面的にはイザナギ以来の好景気と言われていた頃のことである。
しかし、一方では、その時期、デフレ状態も続いていた。
    ◆
そのデフレに対して、多くの経済学者は、インフレターゲットという言葉を使い、克服すべきものとして扱っていた。
確かに、その頃「景気はいいといいながら、給料は全く上がらない。景気は大企業にだけ恩恵を与えている」というような議論が喧しかった記憶がある。
しかし、そのデフレは決して悪質ものではなかったと榊原氏は言う。
日本企業が主導した、中国をはじめとする東アジア圏との経済統合の結果のデフレで、需要不足から来るデフレではなかったからだ。
しかし、その時点で、経済行政の中枢にいた竹中氏はデフレ=悪の図式から出ることは出来なかった。
マクロ分析にとらわれていたからだ。
そして、そこから演繹された政策が、政府が日銀に圧力をかけた末のゼロ金利政策である。
そして、それが、円安バブル、円キャリートレードを誘発。
円がアメリカに流れ、今日の金融恐慌の遠因を作ってしまったと榊原氏は言う。。
さらにその長すぎた低金利政策のために、本当に低金利政策が必要な現状(不況)に対する対応策の幅が狭くなってしまったということなのだ。
本書では、これら一連の状況に対する誤った分析とそこから導き出された一連の誤った政策に関して、僕のような門外漢にも、ある程度理解できるような言葉で書き下している。
    ◆
ご存知の通り、榊原氏は民主党のブレーンである。
民主党が政権奪取した時には、財務大臣候補とも言われている。
したがって、民主党の目玉政策である農家への個別支援なども、資源確保の一環としてサポートする立場のようだが、これを恒久に続ける気でいるのだろうか。
小泉・竹中改革によって、壊されてしまった地方における従来の談合コミュニティにかわって、地方をどのように立ち直らせていくのかということも考え合わせながら大局的な微調整をしていく必要があると思われる。
資源エネルギーが希少品化と、ハイテク商品の廉価商品化、そして世界経済のグローバル化という必然の流れを踏まえた上で、地方社会をどうして行くべきかという中長期的なビジョンとともに、農業政策をうかがいたいものである。
結局、榊原氏はこの本の中で、社会構造がどんどん変化している時代におけるミクロ政策と、それを有機的に統合するポピュリズムに陥らないような国家戦略の必要さを説いているのだ。
その観点から言えば、例えば、消費者庁設置などという「必要だけど、緊急ではない」政策の据え置きなどの政策のプライオリティ付けは絶対必要であると主張する。
そして、逆に、エネルギー政策を国家戦略として推進するエネルギー省の設置を提言している。
おそらく、榊原氏によれば、定額給付金などはさらにプライオリティの低い(お金があればやってもいいけど、やらなくてもいい位な)政策として断ぜられることだろう。
中長期的戦略とは全く関係の無いことだからだ。
かつて、90年代の日本の行政に関して田原総一朗は「頭の無い鯨」という言葉で評したが、その状態は、さらに悲惨になって現代でも続いてしまっているではないか。
しかし、それにしても、国民の信任を得た強力で戦略的な政権の誕生はいつ実現するのであろうか。
それが次の民主党政権にになるのか、政権再編された新しい政権になるのかわからないが、一刻も猶予がならないことだけは確かなようだ。
まさむね

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[23 12 月 2008 | No Comment | | ]
一本気新聞今年のベストエントリー

今年復活した「一本気新聞」だが、今年のベストエントリーを勝手にあげさせていただく。
総合部門
1)隣の晩御飯と地域格差の実態
2)桜の欺瞞性と太田光夫妻
3)「私は貝になりたい」は何故失敗したのか
4)ジャイアント馬場は宮沢章夫の理想を体現していた
5)「源氏物語」誕生 1000周年に寄せて
6)ジョンレノンは労働者階級の歌が作れなかった
7)少子化を踏まえて日本はどうなっていくべきか
8)聖子とヨーコ
9)はるな愛が来年さらに飛躍するであろう7つの理由
10)民主党は小沢待受など配っている場合か
ニュース部門
1)天窓にオバサン 想像を超える不条理
2)元厚生次官宅襲撃事件の結末が示唆するもの
3)船場吉兆倒産 湯木佐知子さんへ捧げる歌
4)寺山と永山と加藤智大
5)北京五輪を覆う座り心地の悪さ
6)団塊 Jr.の女達、人生いろいろ
7)水道からドジョウの不条理な世界
8)後期高齢者医療制度に関して
9)プロレスとしての丸明
10)小室哲哉、夢に裏切られた男
ドラマ部門
1)大河ドラマ「篤姫」の視聴率がよかった11の理由
2)ROOKIES に心奪われた俺って何?
3)「スキャンダル」最終回に残した11の疑問
4)「四つの嘘」と「アラフォー」
5)ラストフレンズとは誰だったのか
6)なんかいつものクドカンとは違う「流星の絆」
7)鹿男あをによし 最終回で全ての謎はとけたのか
8)モンスターペレントとは誰だ?
9)14年前の「29歳のクリスマス」再放送の評価は?
10)「イノセントラブ」最終回に残された8つの不可解さ
J-POP部門
1)来年の紅白歌合戦にモーニング娘。が出場するにはどうすればいいのか
2)不安時代の旅人、ミスチル
3)(R&B)+平安文学=EXILE
4)桑田佳祐 普通のモテない男の妄想歌
5)安室奈美恵は孤高の戦士だ
6)「そばにいるね」は格差社会を正当化する
7)ジェロの海雪等 J-POPと日本の古典文学
8)「二人」aiko、その視線のリアリティ
9)千の夜をこえて、希望の唄、愛唄を歌え自宅で青年よ
10)70 年代ユーミンの役割
まさむね

歴史・家紋, 相撲/プロレス/格闘技 »

[23 12 月 2008 | No Comment | | ]
花田家の家紋がいつの間にか替わった件に関して

先日、Yahooの特集に「【大相撲豪傑列伝】(13)力道山の肉を食いちぎった『土俵の鬼』初代若乃花幹士」という記事が掲載されていた。
記事の内容は、「二所ノ関部屋の兄弟子である力道山のシゴキを受けて強くなったが、けいこの途中で力道山の脛にかみつき、肉を食いちぎったことがある。力道山がプロレス転向後に黒いロングタイツをはいたのは、その傷を隠すためだったともいわれる。」とあるような武勇伝であるが、僕が気になったのは、その記事と一緒に掲載されていた写真だ。
おそらく、若乃花が優勝したときのパーティの写真(写真一番上の段)だろうが、若乃花の紋付の家紋が「丸に三つ柏」なのである。
花田家の家紋と言えば、思い出す事がある。
二子山親方(元大関貴ノ花)が亡くなった時の葬儀で、離婚した憲子さんが花田家の家紋のついた帯をしてきて、貴乃花親方(元横綱貴乃花)が激怒したあの件である。
この時、葬儀の壇上に大きく飾られた紋所は、「隅立ての四つ目結い」であった。
そして、憲子さんの帯にも「丸に隅立ての四つ目結い」が入っていたのだ。
勿論、その後、貴乃花親方、兄の三代目若乃花の正装の紋付にはこの紋が入っている。
さて、それでは何故、先代若乃花の家紋と二子山親方、あるいは貴乃花親方の家紋が違うのだろうか。
勿論、僕はここで、巷に流布している花田家に関するくだらない噂(真実の親子関係など)を云々しようとしているわけではない。
家紋というものが得てして、このように替わってしまうものだという事を確認したかっただけである。
花田家の家紋がいつの間に「丸に三つ柏」から「丸に隅立ての四つ目結い」になったのか。
そんなコロコロ替わってしまうものに対して何故、貴乃花はあれほどこだわったのか。
謎と言えば謎ではある。
しかし、それでもいいのである。
誰も真実をもって貴乃花に詰め寄るようなことはしない。
日本人というのは、おおらかなものなのである。
    ◆
本人が、これがウチの家紋だと言い張れば、それはそのウチの家紋になる。
これが、ウチの伝統だと思えば、それがウチの伝統になる。
正確な経緯とか、歴史の真実などどうでもいいのである。
例えば、井の頭公園弁財天の神紋にしても境内各所にある対い波に三つ鱗の紋の波の形が少しづつ違うではないか。
本当はどの形が正しいのかなどは野暮な疑問なのである。
これは推測であるが、二子山親方(元大関貴ノ花)が、「四つ目結い」は家族の絆の象徴だからと誰か(霊友会関係者?)に言われて、花田家の家紋として、採用しただけかもしれない。
ちなみに、和泉元彌の和泉家も「雪輪に隅立て四つ目結い」を家紋としている。
花田家、和泉家、ともに現代日本を代表する伝統芸の一家であるが、家紋の意味とは裏腹に、家族内のゴタゴタが事あるごとに漏れ伝わってきてしまうのは皮肉である。
    ◆
さて、歴史の真実と言えば、戦後、日本では戦前の日本がどうであったのかという論争がずっと続いている。
最近も、自衛隊の田母神氏の論文が問題になった。
おそらく、彼の論文に対して、真実はどうかという歴史考証のレベルで話をしてもそれほど実りがあるとは思えない。
重要なのは、田母神氏が信念を持って論文を発表したということだ。
おそらく、田母神氏が日本は決して悪くなかったと信じている。それは貴乃花が四つ目結いを伝統的に花田家の家紋であると信じているのと同じことだ。
それゆえに、もし、彼がいずれかの討論会などで完全に論破されたとしても、その後で一言つぶやくだろう。
「それでも、日本は悪くない」と。
    ◆
人が信じていることを替えさせるというのは、本当に難しいことだと思う。
まさむね