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Articles Archive for 23 2 月 2009

映画 »

[23 2 月 2009 | No Comment | | ]

滝田洋二郎監督、本木雅弘主演の『おくりびと』がアカデミー賞の外国語映画賞を受賞した。
この賞がどれほどの価値があるのかはよくわからないが、ハリウッドで日本の映画が評価されたという事は単純に嬉しい。
今まで、ベネチアやカンヌ等、芸術的審美眼で名高いヨーロッパでは認められていたものの、アメリカでの評価が今ひとつだっただけに、今後、日本映画がアメリカというビッグマーケットで受け入れられる第一歩となって欲しいと思う。
先ほど、この『おくりびと』の企画は元々、本木雅弘が納棺師に興味を持ったところから始まったというニュースドキュメンタリをやっていたが、シブガキ隊で一世を風靡した元アイドルタレントが、これほど深く人生についての洞察を持っていたとは。本木から『納棺夫日記』の著者・青木新門への手紙も映されていたが、その字の美しさは目を見張るものがあった。
あらゆる意味で、人間としてのクォリティの高い人なんだなぁと改めて驚かされた。
さてこの作品、受賞したのが滝田洋二郎監督というところに一つの感慨がある。
ご存知の通り、滝田監督はもともとピンク映画監督である。
おそらく、その時期、いつかは一般作の監督として大成する事を夢見ていたことだろう。
その夢が、オスカー受賞という最高の形で結実したのである。
素晴らしい事だ。
それにしても、滝田監督(1955年生まれ)と同世代の有名監督達、金子修介、黒沢清、周防正行といった面々はみな、80年代の成人映画出身者(たたき上げ)であることに改めて驚かされる。
金子修介 (1955年06月生まれ):OL百合族19歳(1984年)、 いたずらロリータ。うしろからバージン(1986年)
滝田洋二郎(1955年07月生まれ):痴漢電車 ちんちん電車(1984年)、痴漢電車 車内で一発(1985年)
黒沢清  (1955年07月生まれ):白い肌に狂う牙(1977年) 、神田川淫乱戦争 Kandagawa Wars(1983年)
周防正行 (1956年10月生まれ):変態家族 兄貴の嫁さん(1984年)
彼等は、ここで映画監督としての修行をするとともに、実験的に自分達の個性を磨いていったのだ。
例えば、周防監督の「変態家族 兄貴の嫁さん」は、小津安二郎的なアングルを試していたのである。
その意味で、成人映画自体が衰退してしまった昨今、次世代の監督達にとっての出身畑はどこがメインになるのであろうか。
宮藤官九郎を出した小劇場か、岩井俊二を出したPVなのか、それとも辻仁成、北野武のように全く別の畑からか...
あるいは「HERO」の鈴木雅之、「恋空」の今井夏木のようなテレビディレクター、すなわちテレビ局社員の起用が増えてくるのであろうか。
だとすれば、テレビ局に入社することが、映画監督になるための登竜門になってしまう。
人材育成という観点からすれば、それは将来的に、映画業界の首を絞めかねないのではないだろうか。
まさむね

書評 »

[23 2 月 2009 | No Comment | | ]

現代アートについて、アフター・ザ・リアリティというコンセプトがある。
それは、いわゆる9.11テロ以降の、様々な意味でのアメリカ中心主義の崩壊を前提としたアートということだ。
グローバリズムの元、アメリカ的価値観を知らず知らずのうちに、内面化してしまい、それぞれの伝統的な生活文化の崩壊に鈍感になってしまっていた世界中の人々に対して、そのシステムが既に無効になっている事を突きつけるようなアートである。
具体的には、それらの作品は、それまで自分達の周りにこびりついていたハリウッド的(日本で言うならば、テレビバラエティ的)なイメージの牢獄を解放するような強度をもったオリジナルな世界観の提示をする。
「現代アートバブル」では、それらのアーティストの代表として榎本耕一、東義孝、福井篤、松原壮志朗、塚田守、木村友紀の6人を紹介している。
写真付きで解説されてあるこれらのアートはそれぞれ力作であることは伝わってくる。
しかし、実のところ、僕はどうしても現代アートに違和感を感じざるを得ない。
アフター・ザ・リアリティのコンセプトは理解できるのだが、現実として、それらの現代アートがビジネスとして成り立っている背景に、金融グローバリズムによって生じた富裕層の投資マネーがあるという現実とどう折り合いをつけているのだろうか、という点が気になってしまうのだ。
もっとも、この本によると、極めて順調に日本の現代アートが世界に受け入れられ、ビジネスとしても前途洋洋のような印象を受ける。また、素人の我々は、どのように現代アートに接すればいいのか、購入すればいいのかなどの実践的なアドバイスも、この書には書かれている。かなり親切である。
しかし、この本の初刷は2008年9月20日、リーマンブラザースの破綻が9月15日だから、ほぼ同時期の発売ということである。現時点(2009年2月)でのアートビジネス、そして、アフター・ザ・リーマンショックとも言うべき現在のアートシーンは大丈夫なのだろうか。この本の題名をそのままお返ししたい気にもなってくる。現代アートバブル いま、何が起きているのか???
ちなみに、現時点(2.23)で、現代アートマニアのためのコミュニケーションサイト(ロープスwww.loaps.com)のアクセスが出来なくなっている。
(上記サイトは現在はアクセスできるようになっています。)
まさむね