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クックパッド、極めて地味ではあるがそれは奇跡である!

7 10 月 2009 No Comment

他と同じようなサイトを他と違うように、しかも他よりあらゆる面で優れたサイトを作るというのは如何に難しいことか。
しかし、その難しいことを実現してしまったサイトがある。
それはクックパッド(携帯では「モバれぴ」)というサイトである。
ご存知の方も多いとは思うが、このクックパッドは、会員数680万人の巨大レシピサイトだ。
レシピサイトは他にもいくらでもあるのだが、このクックパッドは、あらゆる面で優れている。
おそらく、これは奇跡的なことだ。
その奇跡を具体的に、クックパッドの携帯版のモバれぴで見てゆこう。

まずは、レスポンスが速い。docomoの公式サイトのレシピメニューではこのモバれぴは堂々1位にランキングされているが、メニューからクリックしてから、トップページが表示し終わるまでの速さが他のレシピサイトに比べてダントツに速いのだ。しかも「600万人の女性に支持される『クックパッド』というビジネス」(上阪徹著)によると月間2.2億ページビューもあるのにだ。
具体的に僕が測ったところ、メニュー上位でのクリックから表示までの時間(5回の平均時間)はこうだ。

1位 モバれぴ 3秒
2位 味の素簡単レシピ 9秒
3位 キッコーマン速攻レシピ 7秒
4位 簡単キレイのレシピ 8秒
5位 プロの簡単レシピ 13秒

その理由の一つは簡単、実はトップページに画像が無いのである。「なんだ当たり前じゃないか」と思ってはいけない。これは技術の話ではない。サイトを作ったことのある人なら誰でもわかると思うが、トップページに画像を入れないということがどれほど、「難しい」決断か。これはジャニーズの携帯サイトにも言えることだが、やはり理念のしっかりしているところは、「何をやらないか」がはっきりしているのである。
繰り返すが、これはもの凄く難しいことだ。もしかしたら、多くの人はモバれぴのトップサイトを真似てトップページの画像を削除すればいいのかと勘違いしてしまうかもしれないが、重要なのは、現象ではない。そこに至るまでの彼らの熟慮と理想の高さ=理念の強さなのである。
そして、それだけではない。そこには理念に加えて、技術的な裏づけがあるのだ。上記の本によると、クックパッドは「Ruby」を使って自社でサーバーの運営からプログラミングまでしているという。だからこそ、日々、反応速度に関する研鑽に余念が無いのである。

また、このクックパッドでは、そこに掲載されている料理の量がこれまた半端ではない。例えば、「ナス」という文字を検索窓に入れた時に出てくる料理数を見てみよう。

1位 モバれぴ 20003件
2位 味の素簡単レシピ 164件
3位 キッコーマン速攻レシピ 0個(「なす」と入れて163件)
4位 簡単キレイのレシピ 30件
5位 プロの簡単レシピ 519件

とにかく圧倒的なのである。しかも、この検索窓に行くまでのクリック数を数えてみると別のこだわりがみえてくる。

1位 モバれぴ 0クリック
2位 味の素簡単レシピ 18クリック
3位 キッコーマン速攻レシピ 8クリック
4位 簡単キレイのレシピ 2クリック
5位 プロの簡単レシピ 3クリック

モバれぴはサイトに入るとすぐにユーザーが主体的に行う検索が出来るのである。他のサイトでは、~特集とか、会員登録、バナー、説明文などをパスしてようやく検索窓に行き着くのに、モバれぴでは一切そういったわずらわしい途中経緯がないのである。
おそらく、サイト運営者側が見せたいものよりも、ユーザーが見たいものを優先させた結果がこの位置の検索窓なのだと思う。

その他、画面の見やすさ、デザインの綺麗さ(写真の大きさ、位置などが統一されている)でも他を圧倒している。さらに、モバれぴでは、「つくれぽ」といって他のユーザーが実際にレシピを作ってみた写真を投稿することが出来るのであるが、その数が10個になると自然とトップページの上部に表示されるようにプログラミングされているため、更新頻度が、他のサイトに比べて圧倒的に高い(おそらく5分に1回程度!?)のである。
さらにさらに、他のサイトではレシピを見ようとすると有料になってしまうサイトもあるのに、モバれぴは、見るだけならば全部のレシピ(50万件)が無料、ただ、「つくれぽ」を投稿したり、表示されたレシピを人気順にソートして表示させるためには、有料会員になってもらうという設計なのである。
ということは、このサイトでは検索という技術と投稿というコミュニティ、すなわち「ユーザーが料理をより楽しめる仕組み」で金を取っているという事なのだ。

技術というととかく、派手な機能を想像しがちなのだが、ここでは、サイトを表示するとか、検索でユーザーがほしいものを上位に表示するといった極めて地味な、ある意味「普通」なところに人一倍力を入れているということなのである。その地道さが凄いではないか。
このサイトを運営しているクックパッドは、「料理を楽しくする」という一点のこだわりをもってサイトを創り、運営しているという。そのためには、過去に、わざわざ、Googleの検索エンジンにひっかからないように順位を下げるようなプログラミングをしてでも、ユーザビリティを上げたということもあるそうである。これまた凄い話ではないか。

「600万人の女性に支持される『クックパッド』というビジネス」を読んでいると最初から最後まで賞賛の嵐で一冊の新書が出来上がっている。普通、そういった本はどこか胡散臭かったり、ウソ臭いものである。
しかし、この本を読んだ後、若干の悪意を持ってサイトにアクセスした僕は、そのおろかさを知ることになってしまった。この本に書いてあることは全部、本当のことなのである...と少なくとも思わせるだけの説得力のあるサイトなのである、クックパッド(PC)、モバれぴ(携帯)は...おそらく、ここには僕のような老悪魔が住む場所がないと思わされた。

別に昨日のエントリーで東京オリンピック招致のことをこき下ろしたからということで、今日はクックパッドをベタ褒めしたわけではない。

再度言おう。クックパッドは極めて地味ではあるが、現代のささやかな奇跡なのである。

まさむね

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