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現代の天下り用特殊法人は平安時代の荘園と同じである

3 11 月 2009 No Comment

現代は日本史で言えば、一体どの時代に似ているのだろうか。意外にも、平成の世=平安時代という識者が多いのに気づく。

例えば、大塚ひかりは『感情を出せない源氏の人びと』等の著書で、平安時代の貴族社会に蔓延していた宿命主義、恋愛至上主義、母権主義(社会)が現代社会の風潮と類似していることを指摘している。また、そんな環境の中、平安の人々が、光源氏のように感情を抑制することを一つの「たしなみ」としたこと、そして、その抑欝感が一方で怨霊信仰を呼び寄せたことを、現代人の多くが心の病にかかっていることとパラレルなものとして論じている。卓見である。

また、かつて、国際政治学者の高坂正堯は自衛隊に関して「自衛隊は検非違使だ」と言っていた。
つまり、正式な律令の令制に規定の無い官職という意味だ。
平安時代の初期、桓武天皇は大幅に行政改革を行い、軍隊までをも無くしてしまった。
そして、その後、嵯峨天皇の治世に治安維持のために、令外官である検非違使を置くことになった。しかし、この検非違使は決して正式な役職になることはなかった。それどころか、穢れた仕事として、一段低い地位として見られていたのだ。
高坂氏は、自衛隊に対する日本社会のスタンスを検非違使という言葉で鋭く言い当てたのであった。ちなみに、この高坂氏は、あの前原国交大臣の師匠としても知られている。

そして、僕も最近、別の文脈で平成の平安化が気になって仕方が無い。
平安時代というのは、簡単に言ってしまえば、前の時代に出来た大宝律令をはじめとする律令が形骸化していく時代である。
建前ではすべての土地は国家=天皇の所有物で、人民は口分田という国家から与えられた土地を耕し、納税するということになっていた。しかし、実質的には地方の人民は何もしてくれない政府のために税金を払うことを忌避する。そして、あの手、この手で税金逃れをしようとする。当たり前の話だ。
そんな人々の欲求と結びついたのが、中央政府の官僚、公僕であるはずの貴族の欲望だ。貴族達は、納税を忌避する人々に土地を寄進させ、その土地を公有地ではなく、荘園(自分の私的な庭園)ということにし、名義料を吸い上げた。
ようするに、法律の網をかいくぐって、私腹を肥やしたのである。
そのため、国有地はどんどん減り、政府は、財政困難に陥り、都ですら、治安は乱れに乱れた。
ちなみに、芥川龍之介の『羅生門』はその頃の都の荒廃を背景とした物語である。

時はかわって現代。政府の借金はすでに800兆円とも1000兆円とも言われている。しかし、政府はそんな状況はお構いなしに、さらに人々に金をばら撒こうとしている。「クロヨン問題」という言い方もあるが、否納税者が増加している。しかし、彼等の多くは補助金なしでは生きていけない体質にされている。
この借金を何とかしようと、一瞬でも財政を立て直そうとする者が現れても、結局、地域格差が拡大したと大騒ぎし、すぐに元に戻してしまう。その象徴が今回の郵政の実質再国有化問題である。
そして、官僚たちは、あまりにも巨額の借金の影にかくれるようにして、せっせと自分たちの私腹を肥やすシステムを半ば合法的に、しかし隠れて作り続けた。それが天下りの特殊法人だ。官僚が合法的に、破綻した国家財政を尻目に富を収奪するシステムという意味で言えば、現代における天下り特殊法人は平安時代の荘園と同じである。

そしてさらに、驚くことに、実はその全体像という実体すら、誰も把握できていないという状況なのである。今回の民主党の事業仕分けというのは、今更かという感じがしないでもない。そんなことすら出来ていなかったのか、今まで。

では、平安時代はその後、どうなったのか。
地方の武士勢力のパワーが荘園という「ズルい偽安定システム」を武力で圧倒し、検非違使は、北面の武士等に再編され消滅、そして、関東では武士が自分たちで政権を樹立する。また、宿命主義は、実力主義にとってかわっていったのである。
しかし、現代日本人に、平安時代の武士達のようなパワーはあるのだろうか。それすらないとしたら、ただ滅亡に向けてズルズル後退していくだけなのだろうか。

次の時代はまだ見えない。

まさむね

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