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今週は「家紋の秘密」(リイド社)と一本気新聞との比較

5 12 月 2009 No Comment

先週の「家紋の不思議」(コアマガジン)に続き、今週も「もっと知りたい家紋の秘密 あなたのルーツはあの戦国武将だった!!」(リイド社 2009年12月6日発行)というムック本が発売されていた。(ちなみに、本エントリーでは、この本は、「家紋の秘密」と表記させていただく。)
じわじわと家紋がブームが来つつあるのだろうか。それはそれで結構な話だ。
日本のオリジナルな文化でありながら現代では忘れられた存在の家紋、そこに再び光が当たることは素晴らしいことである。

さて、今回のムック本、「それぞれの家紋秘話」と題した解説コーナーがある。それぞれの家紋の物語は基本的には「定説」に沿った形でバランスよくまとめられていた。
例えば、梅紋は「菅原道真の魂が宿っている梅紋」、桔梗紋は「呪われた桔梗紋」、扇紋は「佐竹家を800年守った扇紋」といったところだ。
参考文献として上げられている著書を全部確認したわけではないので確定的な事は言えないが、このムック本では、オリジナリティを感じた箇所がいくつかあった。
例えば、今川義元が桶狭間の戦いで敗れたのは、戦いの陣中に今川家の魔除け紋である「赤鳥紋」(左図)ではなく、己の正統性を誇示するために足利一門の「丸に二つ引き両紋」を掲げたからという説は面白い。
また、目結紋に関して、一般的には「人と人との団結を表す紋」という言われ方が多いのだが、この本では、そのことを踏まえたうえで、戦国武将の尼子経久と佐々成政を例に出し、「どうもこの紋を用いた家系の最期は悲惨な例が多い」と一歩踏み込んだ解釈をしている。思い切った言い切りだ。
さらに茗荷紋に対して、「家紋の秘密」では「茗荷を家紋とする人物はどうも一筋縄ではいかない人が多いようだ」との述べている。これは僕の観点とも近いが微妙に異なる。僕は、茗荷が、摩多羅神というディオニソス的な神の象徴であることから、茗荷紋を持つ人々のことを、「どこか心の奥に悪魔が潜んでいそうな面々」と表現させていただいた(「柏紋者には創業者が多く木瓜紋者には女傑が多いのか」2009年11月2日)が、この本では、秋山真之、桐野利秋、三島由紀夫、角川春樹の名前をあげ、「天才だが一癖も二癖もあるという人」いう扱い方をしている。
勿論、僕は、この説に反対するものではないが、あえて言うならば、これらの人々の列に、推理小説の三大奇書の中の一冊『黒死館殺人事件』を書き上げた小栗虫太郎、「阿修羅のごとく」で人間の業の深さを表現した向田邦子、「将棋は創作だ」との名言を残した天才棋士・升田幸三、そして誰よりも”世界のキタノ”こと、北野武の名前を加えてるとさらに、説得力を増すのではないかと思った。

ただ、いくつか、もしかしたら...あくまでもしかしたらだが、一本気新聞からご参照いただいたようにも見えた箇所があったので、一応指摘しておきたい。
勿論、著者の方が偶然、僕と同じ事を考えたのであろうが、そのどれもが僕としては、それなりに独自に考えたと思っていたことではあるので、正直言って、ショックだった。

①・・・「家紋の秘密」(89ページ)「徳川葵紋由来のミステリー」

また、家康は信長や秀吉とは、異なり、朝廷から下賜されようとする菊紋や桐紋を辞退し続けたのだが、家康が葵にこだわった理由として面白い説が考えられる。秀吉といえば桐紋であるが、もう一つ、馬印の「千成瓢箪」というシンボルマークがある。瓢箪の花は夕顔である。平安時代、宮中で行われた七夕の相撲会では、西からの力士は夕顔を、東からの力士は葵を髪かざりとして土俵に上がっていたという。この故事を意識して、豊臣氏に対抗する紋所として葵をもってきたのだとすれば、なかなかに家康も粋な人物だったといえるかもしれない。

 一本気新聞「徳川葵紋と豊臣桐紋(2)」(2008年5月22日)

前回、豊臣秀吉の紋所が桐紋との話をしたが、秀吉の象徴として瓢箪を思い浮かべる人も多いだろう。
これは、家紋というよりも戦場での馬印に使われたようだ。戦に勝つたびにその瓢箪が増えていったとの伝説(千成瓢箪伝説)もあるが真偽はわからない。しかし、当時、秀吉といえば、瓢箪というイメージは一般に共有されていた。
一方、家康は当時の武家にはめずらしく教養のある人で、幼少の頃から様々な古典文学に慣れ親しんでいたという。
それを考慮に入れると家康が東国の王として桐紋を拒否し続け、葵紋にこだわった理由が見えてくる。秀吉の生前、主に西日本は秀吉の勢力下だったが、その象徴の瓢箪(=その花は夕顔)に対抗する理由から、家康は、葵にこだわったのではないか。
というのも、平安時代の宮中で、に七夕に行われた相撲会では、古来より、西からの力士は夕顔を、東からの力士は葵を髪かざりとして土俵に上がっていたという。(ちなみに、花道という言葉の由来はここから出ている。)
そんな故事が、葵紋にこだわった家康の頭をかすめていたというのが、俺の想像だよ。

②・・・「家紋の秘密」(108ページ)「縁起のいい直江兼続の亀甲紋」

・・・どこでも見かける醤油メーカー・キッコーマンのマーク。これは、昭和の始めに創業者の茂木佐平次が、香取神宮の氏子だったことから、亀甲紋をマークに採用したものである。
また、ビデオレンタルチェーンのゲオのマークも、亀甲紋を基にしたものである。このマークは、3つの正方形のように見えるが、その元になったのは、創業者である遠藤結城の家紋であった三つ盛り亀甲のイメージを、現代風にデザインしたものである。

 一本気新聞「亀甲紋 -北方を守護する玄武の力にあやかった紋-」(2009年1月12日)

ただ、この形状自体が美しいデザインのため、企業のマークとしても使用されている。
例えば、醤油でお馴染みのキッコーマンのマーク。
昭和のはじめに創業者の茂木佐平次が、香取神宮の氏子だったことから亀甲紋をマークに、採用したとのことである。

また、商標、後には会社名としても採用した。

また、ビデオレンタルのゲオ。
こちらのマーク、隅立ての3つの正方形のように見えるが、実は、創業者の遠藤結城氏の家紋であった三つ盛り亀甲のイメージをそのマークに込めたとのことである。

特に、ゲオのマークに関する秘話は、私が生前に遠藤氏から直接うかがったのだから間違いない話である。雑誌などに取材されることを極端に避けておられた遠藤氏のこの秘話を、この著者はどこで入手されたのか興味あるところである。

③・・・「家紋の秘密」(110ページ)「北条氏の紋を使う横綱・白鵬の謎」

さて、不思議なのはこの、三つ鱗が、モンゴル出身の横綱・白鵬の紋としても使われていることだ。約700年前のこととはいえ、母国と戦った時宗と同じ紋というのは、どういうことだろうか?
横綱になったことで、念願の日本征服を果たしたという意味で、ご先祖にも気持ちを伝えるべく相手方の大将の紋を奪い取って使用しているということか。もしくは、もう一人の横綱である朝青龍に対抗するべく、自分が日本の味方であるという証明なのだろうか。様々、想像は広がってしまう。

 一本気新聞「横綱・白鵬の紋所が三つ鱗なのをご存知だろうか。」(2008年2月3日)

横綱・白鵬の紋所が三つ鱗なのをご存知だろうか。

実はこの紋は、13世紀にモンゴル来襲を撃退した北条時宗を輩出した北条家の家紋として知られている。

ところが、その紋所をモンゴル出身の横綱が身に付けているということ、これは如何に。

俺なりに二つほど邪推してみた。

一つは横綱になったことで、日本を制圧したことの印として元寇の復讐を果し、念願の相手の大将の家紋を奪い取ったという説。(実際に戦国時代には、竜造寺氏が戦に勝った、大友氏の杏葉紋を奪ったという事例がある)
もう一つは、白鵬がこの三つ鱗を身に付けることによって、日本側に着き、もう一人の横綱・朝青龍を迎え撃つ覚悟の印としたという説だ。

また、この「家紋の秘密」(112ページ)に藤紋の使用者紹介をしているのだが、こんな箇所がある。

池波正太郎の小説『鬼平犯科帳』の主人公となった長谷川平蔵も「三つ藤巴」。初代総理大臣の伊藤博文は「上り藤」。芸能人では、渥美清が「軸付き三つ藤巴」、みのもんたが「下がり藤」を用いている。女優の沢尻エリカと結婚したハイパーメディアクリエイター・高城剛は、結婚式の様子がテレビでも報じられたが、その際に着用していた紋付は「下がり藤」であった。

実は、ここで書かれていることは、「藤紋 -藤原氏に憧れた地方武士の紋-」(2009年1月13日)に全て掲載されている情報だ。勿論、これらのことは客観的な事実なので、調べればわかることではあるが、沢尻エリカの結婚式の映像で高城剛の家紋を確認するのに、かなり苦労した思い出がある。テレビカメラはほとんど沢尻エリカを追っていたからだ。僕は、当時、C型肝炎の自宅療養中だったため、様々なワイドショーをハシゴすることが出来てようやくキャッチしたのだが...
また、みの氏の家紋に関してだが、多磨霊園にある遠縁の御法川直三郎氏の墓所に鷹の羽紋があるにもかかわらず、自信を持って藤紋の欄に掲載したもの、独自ソースがあってのことだ。

先週上げさせていただいた「家紋文化が認知されるのは嬉しいが、これはちょっと..」における「家紋の不思議」(コアマガジン)と一本気新聞での表現の酷似とは全く次元の異なる今回の話ではあるが、二週に渡って「ネットに文章をアップすることは、いろんなことを考えさせられる」ということを改めて感じた。

まさむね

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