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僕らはイランという国の底力を舐めてはいないだろうか

26 12 月 2009 No Comment

先日、23日、CNNで「イラン国防省、自国製衛星を来春打ち上げ 欧米の反発必至」という報道があった。
それによると...

テヘラン(CNN) イランのファルス通信は23日、国防省の高官が来年春にも自国製の衛星を打ち上げるとの談話を報じた。イランは現在、核問題をめぐって国連安保理常任理事国などが対応を協議しており、反発が起こるのは避けられないと見られる。

とのことだ。なんだか日本という極東の国にいると、イランなどという国は本当に想像の外になってしまう。言い方は悪いが、多くの日本人にとっては、イラン人のイメージは上野公園あたりで身を寄せ合って何か立ち話をしている人々という印象しかない。自分で書いていて思うのだが、まったく、失礼な話ではある。

しかし、ご存知の通り、この国は紀元前から存在する。もの凄く歴史のある国だ。
だから、日本がアメリカのことを底の浅い国というのと同じように、イランから見たら、日本もそう言われても文句は言えない。その位、凄い国なのである。
今回のニュースは、そんなイランが自力で衛星を上げるという。欧米各国の反発というのはさておき、イラン人にしてみれば、当然の権利と感じているだろう。核不拡散など、現代の既得権益集団である欧米が勝手に決めたことで、「なんで、若造の言うことに俺が追従しなければならないのか」ということだ。
それはそれで筋は通っている。だから話はやっかいなのである。

実は、僕は数年前に仕事でイランに数週間滞在したことがあった。そこは日本とは別世界だ。首都のテヘランは朝になると、モスクからコーランが流れる典型的なモスリムの空気が漂う。そして人々の生活が始まる。
街の繁華街では、だいたいの女性はヒジャーブという黒い頭巾のようなものを被っている。しかし、家では普通に生活をしている。それが別に不幸にも感じられない。
逆に日本では失われてしまった親族との付き合いは濃密だ。だから、欧米から品物が入ってこなくてもなんとかやっていける。それが社会の”ブ厚さ”というものだろう。
街に浮浪者などいない。それなりにみんな幸せそうに見えた。

勿論、アメリカと絶交しているため、クレジットカードなどは使えないし、普通の店では酒などは売っていない。ただ、家々にはどこからからか仕入れたアルコール類はあるようで、それはまた、この社会の深さを感じさせた。

驚いたのは、田舎に行った時の話だ。そこは、ゾロアスター教の聖地に近い村だったのだが、近所にアレキサンダー大王が来たという遺跡などもある場所だ。人々は泥で作られたような一見みすぼらしい家に住んでいる。その村は、僕らの価値観からすれば明らかに貧しく感じられた。

ところが、すぐに、そんな言い方は全く傲慢であることに気づかされるのだ。村を歩き回ってみると開けた道路があり、そこに突然、大きなスーパーマーケットがあったのだ。
それは、僕が日常、東京で行っているマックスバリューなどのスーパーと全く遜色の無い、いやもっと立派な建物だった。
「えっ、なんでこんなところに??」
という感じだ。
恐れ入ったとはこのことだ。
ちょうど、「会社物語」(右画像)という映画で、大企業の社員達が、そのビルで働く用務員の男(植木等)の家に行ってみると物凄い豪邸で、しかも、その奥さんが若くて美人だった時の驚きと近いもの...という感じか。

おそらく、これが歴史の蓄積というものだろう。ここは、少しくらい、欧米諸国からノケ者にされたからといって、ニッチもサッチもいかなくなるような薄っぺらな国ではないのだ。
その気になれば、技術でも社会システムでも、そして文化でも決して負けてはいないのである。
そういえば、忘れていたがイランという国は、「そして人生はつづく」や「桜桃の味」で有名な映画監督、アッバス・キアロスタミを生み出した国だった。僕は彼の「友だちのうちはどこ?」は自分の中で5本の指に入る名作だと思っている。

当たり前の話だが、世界は広い。それぞれの国にはそれぞれの価値観があり、幸せがある。
日本も、今まさに、日本独自の幸せを考えなければならない時代に来ているのかもしれない。
後ろから誰かに背中を押されて走り続けるのが幸せというのは勘違いだろう。
今、日本には、貧しくならないようにする経済政策よりも、貧しくても幸せになれるような社会政策の方が求められているような気もする。

まさむね

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