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幕末の名場面を周到に避けるのは大河ドラマの伝統か

7 9 月 2010 4 Comments

昨日に引き続き、「龍馬伝」の話。

一昨日の「龍馬伝」の画面の迫力に思わず見入ってしまった。
寺田屋騒動の回である。正直、自宅のテレビでは、詳細はよくわからなかったが、少なくとも画面を飛び出さんばかりの迫力は伝わってきた。
史実では、この騒動で龍馬はピストルで相手を撃って殺しているらしいが、ドラマの中ではあくまで脅しとして使用していた。
そういえば、今回の「龍馬伝」では、いくつかの幕末有名場面が周到に避けられているようにも思える。
この、史実(あるいは通説)を微妙に避けるというのは「篤姫」にも見られたもので、もしかしたら、NHKの伝統なのかもしれない。(「大河・篤姫が「その時歴史が動いた」篤姫と違う5つの点」参照のこと)

具体的に今まで「龍馬伝」で放映された場面からも、いくつか例をあげてみたいと思う。
坂本龍馬が勝海舟と最初に会う場面、勝海舟の回顧録に基づき、一般的には龍馬は海舟を斬りに行ったといわれている。しかし「龍馬伝」では、海舟を斬りに行ったのは龍馬ではなく、岡田以蔵ということになっていた。
(この龍馬と海舟の有名な出会い。「篤姫」では龍馬(玉木宏)と海舟(北大路欣也)の間では、その有名な絡みがあった。)

また、その後、以蔵が海舟の用心棒をした際に、海舟を殺そうとした刺客を、逆に以蔵が切り殺し、海舟に「そんなにむやみに人を斬るものではない」と以蔵をたしなめると、逆に以蔵に「殺さなければ、先生が殺されていました」と言い返されたという逸話は避けられていた。

さらにいえば、前々回の薩長の密約の時も、西郷が数日間、なかなか薩長同盟の話を切り出さず、木戸が怒るというような伝説があったと思うが、「龍馬伝」では、そういった駆け引きは見られなかった。このドラマでは、あくまでも西郷と木戸は龍馬の引き立て役なのだろうか。

まぁ、僕は特に幕末に詳しいわけではないので、それはそれで、楽しく見れるのだが、一部のマニアには、不満の声もあるようだ。視聴率が若干低いようにも伝えられているのは、そういったことも関係があるのかもしれない。

ただ、以前から何度も書いたが(「「篤姫」から「龍馬伝」に繋がる家紋ミスを深読みする」、「「抱き菊の葉に菊」紋は、元々西郷家の紋だったのかも」)、僕はまだ西郷の家紋に関しては、疑問を抱き続けている。
実は、そのことをNHKに問い合わせてみたのだ。
そうしたら、以下のような回答をいただいた。

いつもNHKの番組やニュースをご視聴いただき、ありがとうございます。
お問い合わせの件についてご連絡いたします。

遅くなり申し訳ございません。
西郷さんの家紋につきましては、本作に関わらず、以前の大河ドラマにおきましても、ずっとこの菊紋を使用して来ました。昔の担当者は当然墓所などを取材し、当時の考証家の方々へリサーチをした上で採用しています。現在、その根拠などを調べようとしていますが、なにぶん、収録が佳境に入っており、時間が取れません。もうしばらくお時間をいただければと思います。
よろしくお願い申し上げます。

今後とも、NHKをご支援いただきますようお願いいたします。
お便りありがとうございました。

龍馬伝 担当
NHK視聴者コールセンター

僕は、この誠実な文面に感動すらしてしまった。
NHKが西郷の家紋に関してどういった調査、経緯があったのか、先方も一段落したら回答をいただけるらしい。楽しみである。

まさむね
いろは丸事件と陸奥陽之助 〜「龍馬伝」を見て〜(10.18)
坂本龍馬を救った組み合い角に桔梗紋の紋付(09.06)
何故,龍馬は急に紋付を着るようになったのだろうか(07.28)
「篤姫」から「龍馬伝」に繋がる家紋ミスを深読みする(07.03)
「龍馬伝」でどのように尊王を描くのかが楽しみだ(04.05)
「龍馬伝」の”無理”が微妙に気になり出している(03.29)
龍馬と義経とタケルに共通する日本史上の英雄の典型(02.03)
リアリティがあるがゆえに、龍馬伝は細かい破綻が気になる(01.23)

4 Comments »

  • JOHN BEATLE LENNON said:

    ほうNHKさん、中々、立派な対応ですね!
    これで、きっちり調べて、返事が来たらその誠実さは本物ですよ。

    それにしても、寺田屋騒動、お龍さんが、素っ裸で龍馬たちの前に飛び出て来る筈だった(逸話では・笑)~だいぶ前から、週刊誌などで、どのような形になるのか話題になってました。

    実際はどうだったかは、当然、知りませんが、普通、NHKで放送されたように、1枚くらいは羽織ってくるでしょうね(笑)

  • masamune (author) said:

    ジョンさん
    おはようございます。
    確か、後ろ姿の入浴シーンありましたね。露出度は由美かおるレベルでしょうか。
    家のテレビがセコいため、よく見えなかっただけかもしれません。
    NHKからの次報を楽しみに待っているところです。結果報告しますね。

  • えびすこ said:

    再来年の「八重の桜」では「篤姫」や「龍馬伝」に出てきた人が出ない可能性が高いです。理由は主人公と面識がない(可能性が高い)ので。上記の作品に出た人物が出るとしても「主人公とは絶対に顔を合わせる事をしない」ようにするでしょうね。
    「いた可能性がない場面に主人公がいるのはいかがなものか?」と言う指摘もありますが、「誰がいつどこにいた」、「誰がいつどこで誰にあった」と言うのは本人の日記や公式文章で判断されますが、前記の記録の「空白の期間」の行動の判断は専門家でも難しいですね。今でもそうですが人物の交友などは、構成上公式文章には書けない事もあり得ます。
    でも、「この人とあの人は明らかに面識がない」とは断定できないのが歴史の面白い点であります。
    「歴史学者は歴史小説が嫌い」と言われますが、逸話を信用しない事から来ていると思います。逸話の中には戦前の歴史教科書に記載された物もあります。

  • masamune (author) said:

    えびすこさんへ

    こんばんわ。
    一本気新聞にお越しいただきありがとうございます。

    空白の期間に関してですが、「お江」でも、本能寺の変の後、信長の亡霊がお江に会いに来たとか、家康とお江が一緒に逃げたとか、明智光秀が死ぬ直前にお江と話をしたなどというかなり無理のある設定がありましたね。

    記録に無いとはいえ、あれで一気に醒めてしまった視聴者もいたのではないでしょうか。

    僕は割り切ってなんとか「乗り越え」ましたww。

    「八重の桜」は今まであんまり大河になっていない時代の話なので楽しみですね。

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