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「魔法少女まどか☆マギカ」を信じるファンであるならば、誰しもが「美樹さやか -恋愛成就- 御守り」こそ身につけるべきである。

23 2 月 2012 2 Comments

先日の「十六茶」に続いて、「WONDA」もまど☆マギとのコラボキャンペーンを始めており、このところ、まど☆マギが再び、僕らの耳目に触れるようになってきた。

そこで、これを機会に、今更感が無きにしも非ずという点は否めないが、「魔法少女まどか☆マギカ お守り 美樹さやか -恋愛成就-」について語ってみたいと思う。

ご存知の通り、美樹さやかとは、アニメ「魔法少女まどか☆マギカ」の中の登場人物。副主人公と言ってもいい。
そして、この物語の中で、唯一、恋愛、そして失恋を経験するキャラなのである。とりあえず、「魔法少女まどか☆マギカ」における世界法則に関しておさらいをしておきたいと思う。

願い事を一つ叶えることで、魔法少女となり、魔女と闘うという運命を引き受ける少女達。
しかし、実は、魔法少女になるということは、人間ではなくなるということ。
また、魔女とは魔法少女が闘うことによって「穢れ」を帯び、絶望することによって変身してしまう成れの果ての姿であり、さらにいえば、このいたいけな少女達の願い事とを叶えたいという希望と穢れがマックスに達した時の絶望の落差のエネルギーが、この宇宙の寿命を延ばすためのエネルギーだった。

さて、美樹さやかであるが、彼女は、ほのかに想いを寄せる幼馴染の上條君(バイオリンの天才少年)が、事故で失った腕を元に戻すという願いを叶えるべく、魔法少女となってしまうのだ。
しかし、前述したように、魔法少女となり、人間ではなくなってしまうことによって、恋愛を成就させることが絶望的になったことに気付いてしまった美樹さやかは、さらに、自分の本当の願望とは、上條君の腕を直してあげたかったなどという純粋な想いではなく、実は、彼の恩人になりたかっただけだという自己欺瞞にもさいなまれ、自暴自棄になり、魔女へ堕ちて行ってしまうのである。

ネットの一部では、不人気キャラと言われ続けた美樹さやかであるが(例:何でさやかは不人気なんだろう・・・【魔法少女まどか★マギカ】)、もしそれが本当だとしたら、それは、彼女のそんな姿があまりにも痛々しすぎるからではないか?と思わざるを得ない。
僕のアニメ師匠であるすがりさんもかねがね主張していることであるが、最近の深夜アニメは、オタク層の願望を満たすための愛玩商品に堕しており、「人間」を表現する作品ではなくなって久しいという。
しかし、上述したさやかにおける、あまりにも「人間」的な痛々しさは、愛玩商品の域を完全に超えているのではないだろうか。いや、重すぎると言った方がいいのかもしれない。

ただ、それが故に、昭和の息のかかった僕らの年代のファンにとっては、そんな美樹さやかは捨てて置けない存在であることも事実である。

かなり前になるが、僕は「人魚の魔女になったSAYAKAの武器はなぜ、車輪なのか(2011.5.5)」というエントリーで、魔女になったさやかの武器が車輪なのは「源氏物語」において、恋に敗れて生霊と化した六条御息所の怨念(嫉妬心)が乗り移った車輪の暗喩となっているのではないかという指摘させていただいた。
しかし、それに加え、さやかという存在は「着てはもらえぬセーターを編み続け」(「北の宿から」)たり、「(彼を)さがし求めてひとりで町中をさまよう」(「長崎は今日も雨だった」)といった昭和演歌で歌われた女性達の流れを正統に汲んでいるということも言えるのではないかと思い、そこが、なんともいとおしく感じざるを得ないのである。

少なくとも、さやかには、他の魔法少女達が抱く「友情」や「救済」や「後輩想い」といった無毒な善意とは異質な、邪悪な他者性があるように思える。そして、その他者性は、このアニメがいわゆる「外のファン」にも説得力を持ちうる萌芽になりうるのではないか、と密かに期待するのであるがいかがだろうか。

さて、それはともかく、この物語における、「絶望(穢れ)がある臨界点を超えると、魔法少女は魔女に変身してしまい、もう元に戻れないどころか、人格を失って、社会に厄災をもたらす」という残酷な約束は、「激しい怨念を残して亡くなった人々は、現世にとどまり、様々な不幸をもたらす」という日本古来の怨霊思想をベースにしているようにも思える。

しかし、一方で、この日本独自の怨霊思想では、この世に残された人々が丁寧に葬り、神としてあがめ続け、その怨念を鎮めることが出来れば、怨霊はいつしか御霊(ごりょう)となり、逆に人々に福をもたらすともいう。

それゆえに、「魔法少女まどか☆マギカ お守り 美樹さやか -恋愛成就-」は、恋愛というものが、現世ではかなえられなかったさやかの本当の願望であったがゆえに、他のいくつかのお守り(例えば「魔法少女まどか☆マギカ お守り 巴マミ -厄除祈願-」「魔法少女まどか☆マギカ お守り 暁美ほむら -学業成就-」「魔法少女まどか☆マギカ お守り 鹿目まどか -心願成就-」※1)よりも、御利益のあるお守りになりゆく可能性を秘めているに違いない。

しかし、そのためにも、さやかファンは、いや、逆に、さやかの痛々しさを忌避したいと思ってしまった他キャラのファンこそが、彼女の魂を救うために、さやかを恋愛神として扱わなくてはならないのではないか。

つまり、僕が言いたいのは、「魔法少女まどか☆マギカ」を信じるファンであるならば、誰しもがこのお守りを身につけるべきであるということでなのである。

まさむね

※1)「魔法少女まどか☆マギカ お守り 美樹さやか -恋愛成就-」に、唯一、ライバルがあるとすれば、願い事を父のために使うことによって、逆に、心の傷を負い利己主義者となってしまう杏子による「魔法少女まどか☆マギカ お守り 佐倉杏子 -家内安全-」である。

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この作品以外のアニメ評論は、コチラからご覧下さい。

2 Comments »

  • ラナン said:

    こんばんは。

    私も美樹さやかはあまり好きじゃないです(^-^;)
    自分の選んだことに自覚がないし、人の所為にする姿が、一寸昔の自分を見ているようで、面映かったりして、嫌だったのだと思います。

    好みは置いて、人間の弱さを売りにしている意味では魅力的です。
    むしろ、こういう人間らしい弱さを抱えているいるキャラクターがいることによって、作品として映えると思うんですよ。
    西村先生の記事で、それを再確認させられました。

    しかし、今一度考えると存外さやかが嫌いではないかもしれません。
    結局、やさかは最終話でも、魔女のいない世界で魔獣に対して力を出し尽くして、いなくなってしまいますが、それは「人の弱さの象徴存在」であったからではないかと、私は感じました。

    さやかだけでなく、誰しも持っている普遍的な概念である「弱さ」を心の何処かに思い浮かべることを、私のお守りと致します。

    因みにすがりさん自身はアニオタでもなんでもないそうですよw
    ご自身が仰っていました。

  • masamune (author) said:

    ラナンさんへ

    こんばんわ。
    一本気新聞へお越しいただきありがとうございます。

    確かに、さやかを見ていると、自分の嫌な部分を見せられていると感じるというのはありますね。

    そして、「嫌い」なものは実は「好き」ということもわかるような気がします。

    さらにいえば、その「嫌い」だけど気になるキャラを配するというのが物語の一つの隠し味ではないのかとも思いました。

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